再審請求棄却決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件
判決データ
- 事件番号
- 平成30し584
- 事件名
- 再審請求棄却決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 裁判年月日
- 2019年2月12日
- 裁判種別・結果
- 決定・棄却
- 裁判官
- 池上政幸、小池裕、木澤克之、山口厚、深山卓也
- 原審裁判所
- 大阪高等裁判所
AI概要
【事案の概要】 本件は、刑事事件で有罪判決が確定した者が、刑事訴訟法435条に基づく再審請求を申し立てたところ、第一審・抗告審とも請求を棄却されたため、最高裁判所に特別抗告を申し立てた事案である。 再審とは、確定した有罪判決について、新たに重大な証拠が発見されるなど法定の事由がある場合に、その判決を見直して再び裁判をやり直す制度である。刑事訴訟法435条は再審請求の事由を限定列挙しており、その1号は「原判決の証拠となった証拠書類又は証拠物が確定判決により偽造又は変造であったことが証明されたとき」と定めている。すなわち、有罪判決の根拠となった書類等が偽造・変造であったことが「確定判決」によって認定された場合に、再審請求が認められる。 本件において請求人は、自己に対する有罪確定判決の証拠が偽造・変造であるとして、その証明手段として民事事件の確定判決または和解調書等を援用し、これらが刑事訴訟法435条1号にいう「確定判決」に該当すると主張したものとみられる。原審はこれを認めず再審請求を棄却し、即時抗告も棄却されたため、請求人は憲法違反等を主張して最高裁に特別抗告した。 【争点】 刑事訴訟法435条1号にいう「確定判決」に、民事事件の確定判決およびこれと同一の効力を有する和解調書等が含まれるか否かが争点となった。再審請求は確定判決の既判力を覆す例外的手続であるため、その要件となる「確定判決」の範囲をどのように画するかが問題となる。 【判旨(量刑)】 最高裁第一小法廷は、本件抗告を棄却した。 まず、抗告の趣意については、憲法違反をいう点を含めて実質的には単なる法令違反の主張にすぎず、刑事訴訟法433条が定める特別抗告の理由(憲法違反または判例違反)に当たらないと判断した。 そのうえで、職権により「確定判決」の意義について判示した。すなわち、刑事訴訟法435条1号にいう「確定判決」とは、刑事の確定判決をいうものと解すべきであり、民事の確定判決やこれと同一の効力を有する和解調書等は含まれないとの解釈を明示した。そして、これと同旨の原判断は相当であるとして、原決定を維持した。 本決定は、再審請求事由のうち証拠の偽造・変造を証明する手段としての「確定判決」を、刑事事件のそれに限定することを最高裁として明確にしたものであり、刑事再審手続の要件解釈について実務上の指針を示した意義を有する。民事判決による偽造・変造の認定では刑事再審の扉は開かれず、偽造罪等の刑事確定判決等によって証明される必要があることになる。裁判官全員一致の意見による決定である。