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知財

商号使用禁止等請求控訴事件

判決データ

事件番号
平成30ネ10067
事件名
商号使用禁止等請求控訴事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2019年2月14日
裁判官
大鷹一郎山門優筈井卓矢
原審裁判所
さいたま地方裁判所

AI概要

【事案の概要】 控訴人「ワイケイホーム株式会社」は、新築住宅の販売及び建物引渡し後の定期点検・メンテナンス業務(アフターケア業務)を行う会社であり、顧客に対し引渡し後10年目・15年目・20年目に定期点検を実施し、必要な有償メンテナンス工事を受注することを条件として、法定の10年保証期間を15年延長し合計25年間の品質保証を行うビジネスモデルを有していた。 平成22年7月、控訴人は、当時の従業員であったAを代表取締役とし、控訴人とAの共同出資により、アフターケア業務を担当する子会社として被控訴人を設立した。その商号は、控訴人商号「ワイケイホーム」に含まれる「ワイケイ」の文字を取り入れた「ワイケイサービス株式会社」(被告商号)と定められた。被控訴人は、設立から平成24年ころまでの間、控訴人から委託を受け、控訴人が建築した建物の定期点検等のアフターケア業務を担当していた。 しかし、平成24年9月ころ、控訴人が保有する被控訴人株式の全部をAに譲渡したことにより、控訴人と被控訴人との資本関係及び業務提携は解消された。控訴人は、その後約4年9か月の間、被控訴人が被告商号を継続使用し営業活動を行っていることを認識しながら、商号変更や使用差止めを求めなかった。 平成27年、控訴人は、被控訴人が控訴人の顧客名簿を利用して控訴人の関連会社であるかのように説明して営業活動を行ったとして別件訴訟を提起したが、請求棄却判決が確定した。そこで控訴人は、平成29年、改めて本件訴訟を提起し、被控訴人による被告商号の使用は、①控訴人と被控訴人との間で資本関係及び業務提携が解消されたときは被告商号を使用しない旨の黙示の合意(本件合意)に違反し、②会社法8条1項の「不正の目的」をもってなされた誤認のおそれのある商号使用に当たると主張し、被告商号の使用差止め及び商号登記の抹消登記手続を求めた。原審(さいたま地裁)は控訴人の請求をいずれも棄却し、控訴人が控訴した。 【争点】 争点は、①控訴人と被控訴人との間で被告商号の使用禁止に関する黙示の合意が成立していたか(本件合意の成否)、②被控訴人による被告商号の使用が会社法8条1項の「不正の目的」をもってなされた誤認惹起の商号使用に当たるか、の2点である。 【判旨】 知的財産高等裁判所第4部は、控訴人の主張をいずれも退け、本件控訴を棄却した。 本件合意の成否については、被控訴人が控訴人のアフターケア業務を担う子会社として設立され、被告商号が控訴人との資本関係及び業務提携を前提として決定された経緯があることは認められるものの、そのことから直ちに資本関係・業務提携解消時に商号変更する旨の合意が推認されるわけではないと判断した。むしろ、平成24年9月の株式全部譲渡による関係解消時に、控訴人が被控訴人に対し被告商号の継続使用について異議を述べず、商号変更も求めなかったこと、その後本件訴訟提起までの約4年9か月間、使用中止を求めた形跡がないこと、控訴人は株式譲渡前に発行済株式の過半数を保有しており、譲渡後に商号変更を確実にする対策を講じ得る立場にあったにもかかわらずそれを検討した形跡がないことなどの事情を総合考慮すれば、設立時において両当事者に資本関係等解消時に商号を変更する意思・意向があったとは認められないとして、黙示の合意の成立を否定した。 会社法8条1項の「不正の目的」の有無については、本件合意が認められないこと、別件訴訟でも控訴人の主張が退けられていること等を踏まえ、被控訴人に他社の営業と誤認させる目的をもって被告商号を使用した事実は認められないとした。以上から、原審の判断は相当であり、控訴は理由がないと結論付けた。 本判決は、子会社設立時に親会社商号の一部を取り入れた商号を採用した場合において、その後資本関係・業務提携が解消された際に、当事者間の黙示の商号使用禁止合意を認定できるか否かについて、設立経緯のみならず解消時の当事者の対応や解消後の商号使用の黙認期間をも重視して判断すべきことを示した事例として、実務的意義を有する。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。