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知財

特許権に基づく損害賠償請求権不存在確認等請求控訴事件

判決データ

事件番号
平成30ネ10048
事件名
特許権に基づく損害賠償請求権不存在確認等請求控訴事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2019年2月19日
裁判官
大鷹一郎古河謙一関根澄子
原審裁判所
東京地方裁判所

AI概要

【事案の概要】 本件は、iPhoneなどで知られる米アップル社(控訴人アップル・インコーポレイテッド)およびその日本法人であるApple Japan合同会社が、米国の半導体大手クアルコム社(被控訴人クアルコム・インコーポレイテッド)とその関連会社4社を相手取り、iPhoneなど原告製品の生産・譲渡等について、クアルコムが保有する特許第4685302号(無線通信システムにおける逆方向リンク送信レートを決定するための方法および装置に関する発明)に基づく損害賠償請求権および実施料請求権が存在しないことの確認を求めた控訴審である。 背景には、アップルとクアルコムとの間で、クアルコムが保有する携帯通信規格に関する標準必須特許(SEP)ポートフォリオについて全世界規模のライセンス交渉が行われていた事情がある。クアルコムは、原告製品の製造受託業者(CM)4社との間でCMライセンス契約を締結してチップセットを供給しており、原告製品はCM4社からアップルに供給されていた。クアルコムは本件訴訟において、CMに対し本件特許を含む特許のライセンスを付与しており、アップルに対し本件特許権に基づく損害賠償請求権・実施料請求権を行使する意思はなく、日本法上行使できるとも考えていない旨を明確に表明していた。 他方、日本以外でも、米国カリフォルニア南部地区連邦地方裁判所における債務不存在確認訴訟やドイツ・マンハイム地裁の訴訟、台湾の公平交易委員会(TFTC)の競争法違反認定など、両社の紛争は世界各国で展開されていた。アップル側は、これら海外訴訟におけるクアルコムの主張や、ライセンス交渉過程での対応を根拠に、日本における本件特許権行使の危険があるとして確認の訴えを提起した。原審東京地裁はいずれの訴えも確認の利益を欠くとして却下したため、アップル側が控訴した。 【争点】 確認の利益の有無、具体的には、クアルコム側が日本国内において、原告製品に関し本件特許権に基づく損害賠償請求権・実施料請求権を行使する具体的なおそれがあるかどうかが争点となった。アップル側は、ライセンス交渉過程でクアルコムが本件特許を含む必須宣言特許の侵害を主張したこと、米国訴訟でFRAND条件適合性の確認を求めていること等を根拠に確認の利益を主張した。 【判旨】 知財高裁は控訴をいずれも棄却した。裁判所は、クアルコムがCMに対し本件特許を含むライセンスを付与しており、原告製品が全てCMから供給されている以上、クアルコムが原告製品について本件特許権に基づく損害賠償請求権等を行使する意思も、日本法上行使できるとの認識もない旨を口頭弁論終結時点で明確に表明していることを重視した。 ライセンス交渉中にクアルコムが提示した特許一覧表に本件特許が含まれていた点や、アップル側書簡の「absent a license」の文言についても、直接ライセンス成立を目指す交渉過程での特許範囲の説明にすぎず、本件特許権侵害の主張と評価することはできないとした。また、米国訴訟におけるFRAND条件適合性確認やロイヤルティ確認の申立ては本件訴訟と確認対象が異なり矛盾しないこと、クアルコムが本件特許の米国対応特許につきアップルを提訴しない旨の無条件かつ撤回不能な誓約をしていることを指摘し、日本における権利行使の具体的おそれは認められないと結論付けた。 さらに、控訴審で追加された新型iPhone製品に関する訴えの追加的変更申立ても、原審で審理されておらず被控訴人の審級の利益を害するとして不許可とした。標準必須特許をめぐる国際的紛争において、相手方の明確な不行使表明やサプライチェーン構造に照らし確認の利益を否定した判断として、実務的意義を有する事案である。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。