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知財

不正競争行為差止請求事件

判決データ

事件番号
平成30ワ6962
事件名
不正競争行為差止請求事件
裁判所
東京地方裁判所
裁判年月日
2019年2月20日

AI概要

【事案の概要】 本件は、イヤホンに装着するイヤーパッド製品「アウロキャップ」を製造・販売する原告が、被告に対し、不正競争防止法2条1項15号(現在の21号に相当する営業誹謗行為)に基づき、原告製品が被告の特許権・意匠権を侵害する旨を告知・流布する行為の差止めを求めた事案である。 被告は、聴覚機器関連の特許権(特許第3894828号「イヤーパッド及び該パッドを具えたイヤホーン」)及び意匠権(意匠登録第1176264号「イヤーパッド」)を有し、実施品として「インコア」を製造販売していた。平成22年頃、原告の経済的支援による被告の経営再建の一環として、被告の子会社であったナップコミュニケーションズが原告の子会社となり、同社と被告との間で本件特許につき通常実施権許諾契約(以下「本件実施許諾契約」)が締結された。さらに平成28年3月23日、被告とナップコミュニケーションズは、被告保有の特許をロイヤリティなしで使用することを許諾する旨の覚書(以下「本件覚書」)を締結した。原告は平成28年11月、同社から原告製品の製造販売事業を譲り受けた。 その後、被告は平成29年4月以降、自社ウェブサイトに「『アウロキャップ』『アウロパッド』という類似品があり、弊社の特許・意匠等に抵触している可能性があります」との記事を掲載し、さらに原告の取引先であるミドリ安全株式会社に対して内容証明郵便を送付して、原告製品が模造品であるとして販売中止を求めた。これを受けてミドリ安全は原告製品の販売を停止したため、原告が本訴に及んだ。 【争点】 主たる争点は、被告が告知・流布した事実(原告製品が被告の知的財産権を侵害する旨)が虚偽であるか否かである。被告は、原告が本件報告義務(製品の生産・販売について帳簿を作成し閲覧させる義務)に違反したため本件覚書は解除された、あるいは心裡留保・錯誤により無効であると主張し、また本件知的財産権は消尽していないと反論した。これに対し原告は、本件覚書により実施許諾を受けており、かつ被告から購入した被告製品を付属させて販売しているにすぎないため知的財産権は消尽していると主張した。 【判旨】 東京地裁は、特許権者が国内で特許製品を譲渡した場合、当該製品については特許権は目的を達成したものとして消尽し、意匠権についても同様に解すべきであるとの消尽論(最判平成9年7月1日、最判平成19年11月8日参照)を確認した。その上で、原告は被告から被告製品(イヤーパッド)を購入し、これを改変せずに原告製品であるイヤホン本体等とともにポリ袋・紙箱に封入して販売しているにすぎず、原告製品に被告製品を付属させて販売しているにとどまると認定し、被告による譲渡によって本件知的財産権は消尽したと判断した。 被告が主張する本件報告義務違反については、仮に違反があっても契約上の義務違反にとどまり、被告が適法に被告製品を流通に置いた事実を覆すものではないとして退けた。したがって、原告製品の製造販売は本件知的財産権を侵害せず、被告の告知・流布は虚偽の事実であると認定した。 さらに、ミドリ安全が販売を停止し、被告がウェブサイト上での掲載を継続している事実から、原告の営業上の利益が侵害され又は侵害されるおそれがあるとして、不正競争防止法3条1項に基づく差止請求を、現に保有する本件特許権1及び消滅後の本件意匠権の範囲で認容した(既に消滅していた本件特許権2については、告知対象に含まれていなかったとして排斥した)。本判決は、経営再建の過程で締結された知財実施許諾関係を背景とする営業誹謗行為に対し、消尽論を適用して差止めを認めた事例として実務上参考になる。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。