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下級裁

福島第一原発事故損害賠償請求事件

判決データ

事件番号
平成25ワ3707
事件名
福島第一原発事故損害賠償請求事件
裁判所
横浜地方裁判所
裁判年月日
2019年2月20日
裁判官
中平健森大輔

AI概要

【事案の概要】 平成23年3月11日に発生した東日本大震災に伴う津波により、東京電力が設置・運営する福島第一原子力発電所において建物・設備が損壊し放射性物質が外部に放出されるという本件事故が発生した。放射能汚染は広範囲に及び、周辺住民は居住地からの避難を余儀なくされた。本件は、福島県から神奈川県内へと避難した世帯(原告番号61世帯に及ぶ)の避難者らが、被告東京電力については原子力損害の賠償に関する法律(原賠法)3条1項又は民法709条に基づき、被告国については津波を予見して必要な津波防護対策を講ずるよう規制権限を行使しなかったとして国家賠償法1条1項に基づき、両被告に対し連帯して損害賠償(避難慰謝料として1人当たり月額35万円、ふるさと喪失・生活破壊慰謝料として1人当たり2000万円、不動産・家財その他の財物損害等)の一部金及び遅延損害金の支払を求めた事案である。福島第一原発事故をめぐっては、全国各地で同種の集団訴訟が提起されているが、本件は国の責任を認めた先行裁判例の一つとして注目された。 【争点】 主要な争点は、①被告東電について民法709条に基づく一般不法行為責任を問えるか、②被告国において福島第一原発の敷地高(O.P.+10m)を超える津波の到来を予見することが可能であったか(予見可能性)、③必要な結果回避措置を講じていれば本件事故を回避できたか(結果回避可能性)、④被告国の規制権限不行使が国家賠償法1条1項の適用上違法といえるか、⑤被告東電と被告国の責任が共同不法行為となるか、⑥損害の性質(避難慰謝料、ふるさと喪失・生活破壊慰謝料)と慰謝料額、⑦避難指示区域外からの避難(自主的避難)の合理性などであった。 【判旨】 裁判所はまず、被告東電に対する民法709条に基づく請求については、原賠法3条1項が民法上の不法行為責任の特則として排他的に適用されるから民法709条に基づく請求は成り立たないと判示した。被告国の責任については、平成21年9月の時点で、地震本部の長期評価や津波評価技術、溢水勉強会の検討結果等を前提とすれば、福島第一原発の敷地高を超える津波の到来と、それによる全交流電源喪失・原子炉の閉じ込め機能喪失・放射性物質の外部放出という事態を予見することが可能であったと認定した。また、非常用電源設備の高所移設等により本件事故を回避することも物理的・時間的に可能であったとし、原子力安全委員会・保安院による審査判断の過程には看過し難い過誤・欠落があり、経済産業大臣がこれに依拠して規制権限(電気事業法40条に基づく技術基準適合命令など)を行使しなかった判断は、許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くものとして国家賠償法1条1項の適用上違法であると判断した。そして被告国の規制権限不行使に基づく国賠責任と被告東電の原賠法3条1項に基づく責任とは、原子力発電所の安全対策が両者の共働によって立案・実施される性質のものであることを理由に民法719条1項前段の共同不法行為に該当し、被告国は被告東電と同額の不真正連帯債務を負うとした。損害論については、避難慰謝料とふるさと喪失・生活破壊慰謝料を法的に厳密に切り分けることは困難であるとしつつ、平穏生活権等の広範な権利侵害を踏まえて慰謝料額を検討し、中間指針等を一応の目安としつつも原告らの個別事情に応じた賠償額を認定した。その結果、一部の原告の請求を一部認容し、その余の請求および残る原告の請求は棄却した。認容部分については、本件事故発生日である平成23年3月11日からの年5分の遅延損害金の支払を命じた。本判決は、原子力損害賠償訴訟において国の規制権限不行使の違法を認め、東電と同額の連帯責任を負わせた点で実務上重要な意義を有する。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。