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知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
平成30行ケ10071
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2019年2月26日
裁判官
大鷹一郎古河謙一関根澄子

AI概要

【事案の概要】 本件は、日亜化学工業株式会社(被告)が保有する特許第5212364号(発明の名称「導電性材料の製造方法、その方法により得られた導電性材料、その導電性材料を含む電子機器、発光装置、発光装置製造方法」)について、原告が特許無効審判を請求した事件の審決取消訴訟である。問題となった発明は、銀粒子を含む組成物を酸素・オゾン・大気雰囲気下で150〜320度の温度で焼成し、銀粒子を隣接部分で融着させて空隙を有する導電性材料を製造する方法に関するものであり、LED発光装置の実装材料などへの応用が想定されている。 本件特許については既に複雑な経緯がある。特許庁は当初、請求項9〜11に係る発明は甲4号証(特表2007-527102号公報)又は甲5号証(特表2005-509293号公報)に記載された発明と周知技術に基づいて当業者が容易に想到できたとして無効審決をした。被告がこれを不服として提起した前訴(平成29年(行ケ)第10032号)において、知的財産高等裁判所は平成29年11月、訂正を認めた上で容易想到性を否定し、無効審決のうち請求項9〜11に係る部分を取り消す判決をし、同判決は確定した。特許庁はこの確定判決を受けて審理を再開し、平成30年4月9日、前訴判決の判断を踏襲して無効審判請求は成り立たないとの審決(本件審決)をした。原告はこれを不服として本件訴訟を提起した。 【争点】 主たる争点は、(1)前訴判決(取消判決)の拘束力が本件審決にどこまで及ぶか、(2)本件訂正発明9について、甲5を主引用例とする場合の相違点9-3(銀フレークが端部でのみ融着する場合を除外する点)、甲4を主引用例とする場合の相違点9-4(銀粒子の粒径を2.0〜15μmとする点)及び相違点9-5(酸素・オゾン・大気雰囲気下で150〜320度で焼成する点)の各容易想到性、(3)本件訂正発明10について、相違点10-2(銀粒子の一部を局部的に酸化させる点)の容易想到性、(4)本件訂正発明11の進歩性、の各点である。原告は、銀粒子の大気雰囲気下での焼結が本件出願の優先日当時の周知技術であったことを示す新証拠を追加提出し、前訴判決の拘束力に抵触しない旨主張した。 【判旨】 知的財産高等裁判所第4部は、原告の請求を棄却した。まず本案前の抗弁(訴権濫用の主張)については、前訴で判断されなかった相違点についての取消事由も含まれていることから、訴権の濫用には当たらないとした。もっとも本案判断では、行政事件訴訟法33条1項に基づく取消判決の拘束力は判決理由中の判断にも及ぶとの立場から、甲5に基づく本件訂正発明9・10の容易想到性に関する本件審決の判断は前訴判決の拘束力に従ってされたものであり誤りはないとした。原告が追加した甲40号証その他の証拠は、既存引用例(甲5)の記載事項に関する主張を補強するものにすぎず新たな公知事実を追加するものではないから、拘束力を揺るがすものではないと判示した。甲4を主引用例とする本件訂正発明9の進歩性についても、甲4は500nm以下のナノ銀粒子による低温焼結を前提とするものであって、これにマイクロメートルサイズ(2.0〜15μm)の銀粒子を適用する動機付けはなく、むしろ阻害要因があるとして容易想到性を否定した。本件訂正発明10・11についても、本件訂正発明9と同様の理由により容易想到性は認められないとして、本件審決の結論を維持した。本判決は、審決取消訴訟における取消判決の拘束力の及ぶ範囲と、同一引用例に関する新証拠の追加提出の可否について実務上重要な判断を示したものである。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。