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下級裁

損害賠償請求事件

判決データ

事件番号
平成27ワ7371
事件名
損害賠償請求事件
裁判所
大阪地方裁判所
裁判年月日
2019年2月26日
裁判官
酒井良介安川秀方前田早織

AI概要

【事案の概要】 ホストクラブで勤務していた当時21歳の男性ホストA(亡A)が、平成24年8月1日、勤務中に急性アルコール中毒により死亡した事件である。Aは通信制高校の学費を稼ぐため、前年に設立されたホストクラブに勤務していたが、本来酒に弱く、普段は薄い水割りを飲む程度だった。事故当日、Aは38度の高熱を押して出勤しており、来店客Iのヘルプとして接客に入った際、ホストクラブの主任Hと同僚ホストJから、焼酎1本分、テキーラゴールド1本分に相当する多量の酒を一気飲みなどの形で強要され、拒否すると暴行を加えられた。Aは客席で嘔吐し、その後も飲酒を強要された末、泥酔状態で客席に放置され、泡を吹いて倒れているのを発見されて救急搬送されたが死亡した。死亡時の血中アルコール濃度は泥酔期に相当する3.6mg/mlであり、頭部には鈍体による打撲痕4か所が認められた。Aの両親である原告らが、相続した損害賠償請求権および遺族固有の慰謝料請求権に基づき、経営会社、同社代表取締役B、その前任の代表取締役C、取締役Dに対し、約4344万円の連帯支払を求めたのが本件である。原告らは会社に対しては主位的に使用者責任、予備的に安全配慮義務違反を、取締役らに対しては会社法429条1項および不法行為責任を主張した。 【争点】 主たる争点は、(1)主任Hおよび同僚Jによる飲酒強要・暴行・放置の事実の有無、(2)会社に使用者責任または安全配慮義務違反が成立するか、(3)取締役B・C・Dに会社法429条1項または不法行為に基づく個人責任が認められるか、である。被告側は、Aがもともと酒に強く、当日は業務と無関係に酔って来店した旨主張し、Hらの不法行為を否認した。また、会社および取締役らは、過度な飲酒防止のためのミーティング・2人組接客体制・ヘルプ同士の牽制・キャッシャーおよび主任による監視体制等を整えており、被用者の選任・監督について相当の注意を尽くしていたと反論した。 【判旨】 裁判所は、客Iの供述が、頭部打撲痕・嘔吐物の位置・席の配置など客観的事実と整合する一方、Hの供述は客観的状況や亡Aの勤務実態と整合せず不自然であるとして、Iの供述を信用できるものと認め、HおよびJが暴行を伴いながらAに多量の飲酒を強要し、泥酔状態で放置した結果、Aを急性アルコール中毒により死亡させたと認定した。その上で、Hは、主任としてホストが過度に飲酒しないよう配慮し、危険な状態に陥れば救急搬送等の措置を講ずべき注意義務を負っていたのにこれに違反したとして、不法行為責任を肯定した。Hの行為は客Iの接待中になされたものであり、事業の執行につき行われたといえるから、被告会社は使用者責任を負い、選任・監督について相当の注意をしたとの抗弁は採用できないとした。もっとも、代表取締役Bおよび取締役Dについては、監視カメラが存在しても取締役に常時監視義務まではなく、定期的なミーティングで過度の飲酒防止を指導していたこと、店長・主任・キャッシャーが異常事態に対応する体制が整えられていたこと、本件事故前にホスト同士の飲酒強要の前例がうかがわれないことから、指導すべき立場の主任H自身が暴力を伴う飲酒強要に及んだ本件事故は突発的な出来事であり、取締役の安全配慮義務違反や予見可能性は認められないとして、会社法429条1項の責任および不法行為責任をいずれも否定した。事故の約10か月前に退任していた前代表取締役Cについても、現任取締役に義務違反が認められない以上、在任中の職務執行に問題はなく、予見可能性も結果回避義務の根拠もないとして責任を否定した。損害については、死亡慰謝料2300万円、逸失利益4735万余円、葬儀費用150万円、治療費4万余円の合計約7189万円を認め、原告らは各2分の1を相続し、さらに民法711条に基づく遺族固有の慰謝料各100万円を認めて、被告会社に対しそれぞれ3694万8301円および遅延損害金の支払を命じ、その余の請求および取締役らに対する請求はすべて棄却した。本判決は、接客業における飲酒が業務に内在する危険と位置付けられる場面で、現場の使用者責任を広く認めつつ、取締役個人の会社法429条1項責任については、現場での突発的な逸脱行為にまで具体的監視義務を及ぼさないという判断枠組みを示した点に実務的意義がある。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。