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知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
平成30行ケ10051
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2019年2月27日
裁判官
高部眞規子杉浦正樹片瀬亮

AI概要

【事案の概要】 本件は、「船舶用エンジンのハイブリッド燃料供給システム及び方法」と題する発明について特許出願をした原告(韓国の造船会社)が、特許庁から拒絶査定を受けたため拒絶査定不服審判を請求したところ、特許庁が「本件審判の請求は、成り立たない。」とする審決をしたことから、同審決の取消しを求めた事案である。 本願発明は、液化天然ガス(LNG)運搬船における燃料供給に関するものである。LNG運搬船では、貯蔵タンク内のLNGが外部熱により自然気化してボイルオフガス(BOG)が発生する。このBOGを船舶用エンジンの燃料として活用する場合、従来は船級規定上の重複化(リダンダンシー)要請に応じて多段圧縮機を2セット並列配置する必要があったが、高価な圧縮機を重複して持つことはコスト負担が大きかった。本願発明は、BOGを圧縮する第1流路とLNGを高圧ポンプで加圧・気化する第2流路という二元化された燃料供給経路を備えつつ、多段圧縮機は1セットのみ設けることで、重複性を満たしながらコストを削減する構成に特徴がある。 これに対し特許庁は、MANディーゼル&ターボ社が2012年9月にコペンハーゲンで開催したセミナーでの配布資料(引用例)に記載された発明並びに周知技術及び技術常識に基づき、当業者が容易に想到できたものとして進歩性を否定した。 【争点】 争点は、進歩性判断の前提となる引用例の頒布日の認定の当否、相違点1(多段圧縮機を1セットのみ設け複数のインタークーラを含む構成)及び相違点2(圧縮機故障時にLNG流路で燃料を供給することで重複性を満たす構成)に係る容易想到性判断の当否である。 【判旨】 知的財産高等裁判所第1部は、原告の請求を棄却した。 頒布日については、セミナープログラムやMDT社日本法人の回答等から、引用例が本願優先日前である平成24年9月4日に秘密保持義務なく参加者に頒布されたと認定し、審決の認定を是認した。 相違点1については、BOGを圧縮する多段圧縮機が複数のインタークーラを含むこと及び当該圧縮機を1セットのみ設けることは、いずれも本願優先日当時の周知技術であったと認定した。原告は圧縮機を2セット並列設置することが船舶業界の技術常識であると主張したが、原告が援用する文献は公開日が不明であったり重複設計を必須とする趣旨まで示すものではなく、上記技術常識の存在を裏付けるに足りないとして排斥した。 相違点2については、引用発明においてBOG流路とLNG流路による二元化が既に図られており、主機の1次燃料供給システムが喪失した場合でも代替供給システムのバックアップにより通常航海に支障をきたさないシステム構成とすることが本願優先日当時の技術常識であったと認定した。この技術常識を踏まえれば、BOG流路の圧縮機に故障が生じた際にLNG流路により燃料を供給して重複性を満たすことは、当業者が当然に行い得ることにすぎないと判断した。 以上より、本願発明は引用発明並びに周知技術及び技術常識に基づき当業者が容易に想到し得たものであるとして、進歩性を欠くとした審決の判断に誤りはないと結論づけた。本判決は、船舶業界における重複設計の技術常識の有無を証拠に基づき慎重に検討し、安全性確保のための冗長化要請と具体的な装備数の設計選択とを区別した点に実務的意義がある。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。