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知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
平成30行ケ10064
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2019年2月28日
裁判官
大鷹一郎山門優筈井卓矢

AI概要

【事案の概要】 本件は、特許無効審判の審決取消訴訟である。被告(株式会社シーライブ)らは、発明の名称を「核酸分解処理装置」とする特許(特許第5463378号)の設定登録を受けていた。この発明は、メタノールを触媒反応によりラジカル化して生成される「バイオガス」(メタノール由来ラジカルガス)を用い、暴露部(滅菌タンク)内の温度、湿度、ガス濃度および庫内差圧をフィードバック制御することで、短時間で効率的にDNA・RNAを分解処理する装置に関するものである。 原告(株式会社ウイングターフ)は、本件特許について無効審判を請求したところ、被告らは訂正請求を行い、特許庁は訂正を認めた上で「請求は成り立たない」との審決をした。原告はこれを不服として審決取消訴訟を提起した。 争点は多岐にわたるが、中心となったのは、主引用例(甲1公報記載の滅菌処理装置)に副引用例(甲2記載のホルムアルデヒドガス殺菌装置)を組み合わせることにより、訂正発明2の構成(特に「庫内差圧検出手段」により暴露空間内の圧力を一定に制御する構成、相違点2)が当業者にとって容易に想到できたか否かであった。 【争点】 最大の争点は、訂正発明2の「庫内差圧検出手段」の解釈である。特許庁は、本件明細書の実施形態記載を参酌し、当該検出手段を「滅菌タンク内がタンク外よりも陰圧であることを検出する」ものに限定して解釈した。その上で、甲2記載の微差圧検出器は室内を「陽圧」に維持するためのものであるから、圧力差の制御手法が正反対であり、甲1発明に甲2を適用しても相違点2に係る構成を容易に想到できないと判断した。 これに対し原告は、特許請求の範囲の文言上「陰圧」との限定は存在せず、「庫内差圧」は陽圧・陰圧を問わずガスの排気処理に伴って生じる圧力差を意味するにすぎないと主張し、甲2記載の陽圧制御構成を甲1発明に組み合わせることで相違点2を容易に想到できると反論した。 【判旨】 知的財産高等裁判所は原告の主張を認め、本件審決を取り消した。 裁判所はまず、訂正発明2の特許請求の範囲の記載および本件明細書の全体の記載を総合すると、訂正発明2の技術的意義は、フィードバック制御により暴露空間内の温度、湿度、庫内ガス濃度および庫内差圧の定量的制御を行い、検体の種類に応じた短時間で高効能を発揮する条件を定義することにあると認定した。そして、「庫内差圧」を陰圧の数値範囲に制御する必然性は見いだし難く、明細書にも陰圧制御が陽圧制御に比して有利な効果を生じる旨の記載や示唆はないとした。 したがって、「庫内差圧検出手段」の対象となる庫内差圧は、庫内と庫外の圧力差であれば足り、陰圧に限定されるものではないと解すべきであるとして、審決の限定解釈を誤りと断じた。 その上で裁判所は、甲2の第2の実施形態には、微差圧検出器により検出される圧力差を基に給気・排気ユニットを制御して被殺菌空間内の圧力を一定に保つ構成が開示されており、これが訂正発明2の「庫内差圧検出手段」「排気量制御手段」等に相当すると認定。甲1発明においても、安定した濃度の滅菌ガスを発生させ十分な殺菌効果を得るために甲2記載の構成を適用する動機づけが認められるから、相違点2に係る訂正発明2の構成は当業者が容易に想到できたと判断した。 訂正発明2を引用する訂正発明3および4についても、訂正発明2の容易想到性を否定した審決の前提が崩れた以上、その判断は誤りであるとして、サポート要件等のその余の取消事由を判断するまでもなく、本件審決を全部取り消した。本判決は、特許請求の範囲の解釈において明細書の実施形態の記載を根拠に過度な限定解釈を加えることを戒めた事例として、特許実務上意義がある。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。