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損害賠償請求事件

判決データ

事件番号
平成29ワ1752
事件名
損害賠償請求事件
裁判所
大阪地方裁判所
裁判年月日
2019年2月28日

AI概要

【事案の概要】 本件は、稚魚を原料とするちりめんの製造法に関する特許権(特許第4686669号)を有する原告(不動産関連の賃貸業等を営む会社)が、専用実施権者であった被告(漁業・水産物加工販売を営む会社)に対し、特許専用実施権許諾契約上の実施義務および報告義務に違反したとして、契約に定められた損害賠償の予定額1000万円の支払を求めた事案である。 本件特許は、3~10%の食塩水でボイルした稚魚を5℃~-1℃で約48時間氷冷熟成し、その後-23℃~-25℃で凍結、解凍後真空包装して加圧加熱処理するというちりめんの製造方法を内容とする。原告は平成23年にB商店から本件特許権を譲り受けた後、自ら製造する能力がなかったため実施業者を探し、平成26年3月28日、被告との間で本件契約を締結した。契約ではイニシャルペイメントが0円とされ、被告が販売した製品の販売価格の2~5%をランニング実施料として支払う内容であった。 被告は契約後、パック詰め設備を有する広島県尾道市の業者に委託する手配やパッケージのデザイン発注を進め、平成27年3月に製造を開始し、同年4月から「婦人画報」誌に掲載された「オレの惚れたしらす丼セット」の販売を開始した。しかし販売量は原告の期待に及ばず、原告は平成27年1月以降、実施がされていないこと等を理由に繰り返し契約解除を通告し、本訴に及んだ。 【争点】 争点は、被告の実施義務違反の有無(製造工程が本件発明に反するか、および製造販売が実施義務の履行として十分であったか)、報告義務違反の有無、契約第16条第2項に基づく損害賠償額の予定の適用の可否である。 【判旨】 裁判所は原告の請求を棄却した。 まず製造工程について、被告はボイル後に遠赤外線乾燥機で約1分間送風し粗熱をとる工程を入れていたところ、本件特許の特許請求の範囲および明細書はこの工程を排除する旨を明記しておらず、しらすの製造業界においてボイル後に粗熱をとる作業は技術常識であった。水分含有量の減少は1~2.5%程度にとどまり、むしろイノシン酸含有量の面で本件発明の作用効果を減殺するとはいえないから、粗熱をとる工程を入れることは本件発明の製造工程に反しないと判断した。なお原告が主張する遠赤外線7分間乾燥の事実は、ホームページデザイン会社の誤記と認められ、証拠上認定できないとした。 次に実施義務については、本件契約に明文規定はないものの、専用実施権設定契約では特許権者が維持費用を負担しながら自ら実施や再許諾ができない立場に置かれることに鑑み、信義則上、専用実施権者は特許の実施に向けた合理的な努力を尽くす義務を一定限度で負うと判示した。もっとも、ランニング実施料方式でリスクを負う以上、過大な義務を課すことは相当でないとして、被告が契約締結後約1年で製造販売にこぎ着けた経緯を踏まえ、実施義務違反は認められないとした。 報告義務については、被告の「特許製品販売表」の送付に遅延や記載不備があったものの、契約第16条第2項の損害賠償額の予定は第4条違反を対象としていない上、原告自身が書面で報告書の受領を拒絶していた事情等から、信頼関係を著しく損なう行為とは評価できず、報告義務違反に基づく損害も認められないと結論付けた。 本判決は、専用実施権設定契約において明文の実施義務条項がない場合でも、特許権者と専用実施権者の利害状況を踏まえ信義則上の実施努力義務を認めつつ、その内容を「合理的な努力」にとどめ、過度な義務賦課を避けた点に意義がある。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。