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下級裁

原爆症認定申請却下処分取消等請求事件

判決データ

事件番号
平成27行ウ250
事件名
原爆症認定申請却下処分取消等請求事件
裁判所
大阪地方裁判所
裁判年月日
2019年2月28日
裁判官
松永栄治徳地淳横井真由美

AI概要

【事案の概要】 本件は、広島原爆または長崎原爆の被爆者である原告2名が、厚生労働大臣に対して原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(被爆者援護法)11条1項の原爆症認定(申請疾病が原爆の傷害作用に起因する旨の認定)を申請したところ、いずれも却下処分を受けたため、各却下処分の取消しを求めるとともに、国家賠償法1条1項に基づき慰謝料各100万円の支払を求めた事案である。 原告甲は、被爆当時3歳11か月で、長崎市東小島町(爆心地から約4.2キロメートル)の自宅屋内で被爆し、6日後に疎開する際に爆心地付近を通過して大橋電停付近の浦上川で水浴びをした。70歳の時に前立腺がん(ステージIII)と診断され、全摘除手術を受けた後、これを申請疾病として原爆症認定を申請した。 原告乙は、被爆当時18歳の軍人で、広島原爆投下当日の夜に入市し、8月7日から11日まで爆心地周辺や爆心地から2キロメートル以内の地域で救援・救護活動に連日従事した。その際、防護服やマスクを着用せず、汚染された水や食物を摂取していた。83歳の時に右冠動脈に90パーセントの狭窄が認められ、狭心症(動脈硬化性の安定狭心症)と診断されたため、これを申請疾病として原爆症認定を申請した。 原爆症認定制度は、被爆者健康手帳の交付とは別の制度で、申請疾病と原爆放射線との因果関係(放射線起因性)と医療の必要性(要医療性)の双方が認められて初めて認定される。残留放射線や内部被曝の評価が実務上長年の争点となっており、本件はその判断枠組みを示す点で意義を持つ。 【争点】 主たる争点は、(1)放射線起因性の判断枠組み、(2)原告甲の前立腺がんの放射線起因性、(3)原告乙の安定狭心症の放射線起因性、(4)却下処分に係る国家賠償責任の有無である。とりわけ、低線量被曝や残留放射線の影響評価、動脈硬化性の安定狭心症と放射線被曝との一般的関連性の有無が実質的な争点となった。 【判旨】 大阪地方裁判所は、原告乙の請求のうち却下処分の取消しを認容し、その余の請求(原告甲の取消請求・両原告の国家賠償請求)をいずれも棄却した。 まず判断枠組みについて、原爆症認定における放射線起因性の立証は、通常の民事訴訟と同様に「高度の蓋然性」の証明を要するとしつつ、放射線と疾病との機序解明の困難性に鑑み、被曝の程度、疫学的知見に基づく疾病と放射線被曝との関連性、他の危険因子の有無等を総合考慮して判断すべきとした。被曝の程度の評価においては、初期放射線による外部被曝のみならず、残留放射線(誘導放射線・放射性降下物)による外部被曝および内部被曝の可能性も個別具体的に検討すべきとした。 原告甲については、爆心地から約4.2キロメートルの自宅屋内での被爆による初期放射線被曝は事実上無視し得る程度に僅少であり、東小島町に黒い雨が降ったと認めるに足りる証拠はなく、6日後の入市時に爆心地付近を通過したことによる残留放射線被曝も、既に放射線が相当程度減衰していたことから、健康に影響を及ぼすような相当程度の被曝があったとは認められないとした。急性症状としての下痢の発症も供述の一貫性を欠き信用できず、前立腺がんは好発年齢での発症であることも考慮し、放射線起因性を否定した。 原告乙については、広島原爆投下当日の夜に入市し5日間にわたり爆心地周辺で救援活動に従事したことから、残留放射線による外部被曝と放射性物質の吸入・摂取による内部被曝を受けたものと推認され、40歳という若年で白内障を発症していることも考慮すると、健康に影響を及ぼすような相当程度の被曝をしたと認定した。その上で、動脈硬化性の狭心症は心筋梗塞と粥状動脈硬化症を主因とする虚血性心疾患という機序において共通し、心筋梗塞と放射線被曝との関連性が一般的に肯定できることから、安定狭心症も含め動脈硬化性の狭心症と放射線被曝との関連性を一般的に肯定できると判示した。原告乙の脂質異常症・高血糖状態はいずれも程度が重くなく、これら危険因子により放射線被曝の影響が否定されるものではないとして、放射線起因性および要医療性を認め、却下処分を取り消した。 国家賠償請求については、原告甲の却下処分は適法であること、原告乙の却下処分は違法であるものの、厚生労働大臣が疾病・障害認定審査会の意見を聴いてこれに従った処分であり、職務上通常尽くすべき注意義務を怠ったとまでは認められないとして、いずれも請求を棄却した。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。