AI概要
【事案の概要】 被告人両名は、被害児童両名(当時4歳のBと当時2歳のC)の母親Aと同居していたところ、Aと共謀のうえ、平成29年12月中旬頃から同月25日までの間、Aが居住する大阪府箕面市内の団地居室において、Bに対しその側腹部等を拳骨や平手で多数回殴打する暴行を加えて全治約2週間以内の側腰部打撲等の傷害を負わせ(第1)、さらに同月24日夜から翌25日未明にかけ、Bの腹部を拳骨で殴打して腸間膜挫裂の傷害を負わせ、同日午前3時25分頃、腹腔内出血により死亡させた(第2)。加えて、同時期にCに対しても顔面や腹部等を拳骨や平手で多数回殴打し、全治約1週間を要する多発打撲等の傷害を負わせた(第3)。検察官は被告人両名につきそれぞれ懲役12年を求刑した。被告人両名は各事実を認め、争点は主として量刑であった。 【判旨(量刑)】 大阪地方裁判所第6刑事部は、被告人両名をそれぞれ懲役10年に処し、未決勾留日数中各300日をその刑に算入した。 裁判所は、本件を幼い実子2名に対する深刻な児童虐待事案と位置づけ、約1週間にわたり皮膚変色が生じるほどの強さで顔面・腹部・側腰部等を殴打したうえ、仰向けのBの腹部を複数回強打し、腸間膜と大網に挫裂を生じさせるほどの強度の暴行によって死亡させた態様は悪質であると評価した。致命傷がいずれの被告人の暴行によるものか証拠上特定できない点には言及しつつ、共謀共同正犯としての責任を肯定した。被害児童らの肉体的苦痛のみならず、日常的に暴行を受ける恐怖という精神的苦痛も大きかったと認定し、傷害致死を処断罪とする同種事案の中で重い部類に属すると判断した。 他方、当初はAの指示を契機として暴行を開始したこと、被告人Eの提案により犯行後数時間で自ら警察に出頭したこと、各被告人が事実を認め反省の態度を示していること、被告人Eには内妻、被告人Dには父親が情状証人として更生支援を約束していること等の酌量事情も認め、求刑から2年減じた懲役10年が相当と結論づけた。本判決は、実親の指示下にあった同居者による児童虐待についても、指示を拒む選択肢があった以上は重い非難が妥当するとの量刑判断を示した点に意義がある。