固定資産価格審査決定取消請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、E市に所在する複合用途ビル(駐車場、店舗、フィットネスクラブ、事務所として使用)の共有者である原告らが、E市固定資産評価審査委員会から同家屋の平成24年度の固定資産税の価格を28億2688万余円とする審査決定(本件決定)を受けたことに対し、固定資産評価基準に従えば23億0595万余円になるべきだと主張して、本件決定の一部取消しを求めた事案である。本件家屋は平成12年に新築された非木造家屋で、柱にコンクリート充塡鋼管(CFT)構造を採用している点に特徴がある。固定資産税の課税標準は「適正な時価」としての登録価格であり、その不服は審査決定取消訴訟によってのみ争うことができる(地方税法434条2項)。 【争点】 争点は、本件家屋の価格が固定資産評価基準により算定される価格を上回るか否かであり、具体的には、①適用すべき非木造家屋再建築費評点基準表の種類、②耐火被覆のない鉄骨の数量、③デッキプレート上コンクリートの標準評点数、④建築設備(自動車管制装置等)の規模の補正係数、⑤CFT造柱に適用すべき経年減点補正率(鉄骨造S造か鉄骨鉄筋コンクリート造SRC造か)、⑥本件家屋の評価額、が争われた。とりわけ⑤について、評価基準がCFT造を明記していないため、鋼管内のコンクリートをどう評価するかが実務上の論点となった。 【判旨】 裁判所は、まず評価基準表の類型や鉄骨数量等の主要な争点については、おおむね被告側の認定を是認したが、次の3点に誤りがあるとした。第一に、耐火被覆が施工されていない鉄骨の重量は762.37tではなく989.96tと認定すべきであり、227.59t分を耐火被覆施工済として評価した点は過大である。第二に、自動車管制装置の規模補正係数は0.93ではなく0.62を用いるのが相当である。第三に、経年減点補正率については、CFT造はSRC造とは異なり鋼管外面がコンクリートに覆われないため、中性化速度ではなく鋼材の酸化(錆)を耐用年数算定の基礎とすべきであり、建築基準法施行令・国交省告示もCFT造をS造の規定に従わせており、東京都主税局のガイドブックや札幌・横浜・名古屋等の運用もS造として扱っているから、S造の経年減点補正率(肉厚4mm超、経過年数12年で0.7257)を適用すべきであり、SRC造の補正率を適用した本件決定は評価基準の適用を誤ったと判断した。以上を踏まえて評価額を25億9182万余円と算定し、これを超える部分の取消しを認容し、その余の請求は棄却した。固定資産評価実務において、CFT造柱の経年減点補正率をS造とすべきと明示した点に、本判決の実務的意義がある。