最高裁判所裁判官国民審査無効請求事件
判決データ
- 事件番号
- 平成30行ツ185
- 事件名
- 最高裁判所裁判官国民審査無効請求事件
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 裁判年月日
- 2019年3月12日
- 裁判種別・結果
- 決定・棄却
- 裁判官
- 岡部喜代子、山崎敏充、宮崎裕子
- 原審裁判所
- 東京高等裁判所
AI概要
【事案の概要】 平成29年10月22日に実施された第48回衆議院議員総選挙と同時に行われた最高裁判所裁判官国民審査について、原告が国民審査法36条に基づき審査の無効を求めた事案である。原告は、公職選挙法9条1項が年齢満18歳及び満19歳の日本国民に衆議院議員選挙権を認めていること(本件規定)が憲法15条3項に違反し、本件規定を前提に国民審査法4条により満18歳・満19歳の者に審査権を認めて行われた国民審査は無効であると主張した。第一審・原審がいずれも請求を退けたため、原告が上告した。 【争点】 国民審査法36条の審査無効訴訟において、公職選挙法9条1項(選挙権年齢を満18歳以上とする規定)の違憲を主張し、これをもって審査無効の原因とすることが許されるかが争点となった。具体的には、国民審査法37条1項が審査無効の原因として定める「この法律又はこれに基いて発する命令に違反することがあるとき」に、選挙権年齢規定の違憲主張が含まれるか否かが問題となった。 【判旨】 本件上告を棄却した。民事事件について最高裁判所に上告できるのは民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ、本件上告理由は同項に規定する事由に明らかに該当しないとした。 理由として、国民審査法36条の審査無効訴訟は行政事件訴訟法5条の民衆訴訟であり、法律の定めに従って提起し得るものである。同法37条1項が審査無効の原因として定める「この法律又はこれに基いて発する命令に違反することがあるとき」とは、主として審査事務の担当機関が審査管理執行手続に関する明文規定に違反する場合、又は明文規定はないが憲法が定める国民審査制度の基本理念が著しく阻害される場合を指すと解される。選挙権年齢を満18歳以上と定める公職選挙法9条1項が違憲であるという主張は、このような審査無効の原因には当たらない。したがって、審査人が同項所定の無効原因として本件規定の違憲を主張し得るものではなく、所論はその前提を欠く。 【実務的意義】 国民審査無効訴訟は民衆訴訟として客観訴訟の性質を有し、法律の定める範囲でしか提起できない。本決定は、審査無効の原因を厳格に限定し、選挙権年齢規定の違憲性という審査手続外の事項は無効原因とならないことを明らかにしたものであり、国民審査制度と選挙制度の法的位置付けを区別して理解する上で意義を有する。裁判官全員一致の意見である。