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下級裁

アスベスト被害に基づく損害賠償請求事件

判決データ

事件番号
平成29ワ305
事件名
アスベスト被害に基づく損害賠償請求事件
裁判所
福岡地方裁判所
裁判年月日
2019年3月12日
裁判種別・結果
その他
裁判官
井川真志久次良奈子髙野将人

AI概要

【事案の概要】 原告は、昭和35年から平成8年までの約37年間、北九州市内の石綿工場において石綿スレート製造作業に従事し、原料石綿の袋をかくはん機に投入する作業や成型後のスレート板を切断する作業に携わった。この間、原告は工場内で石綿粉じんのばく露を受け、平成20年9月26日に肺がんの疑いと診断され、同年11月7日の生検で肺がんと確定診断された。平成22年2月12日には業務起因性が認められ労災認定を受けた。原告は、被告(国)が旧労働基準法に基づく省令制定権限を行使して石綿工場に局所排気装置の設置を義務付けるなどの措置を怠ったことが原因で肺がんを発症したと主張し、国家賠償法1条1項に基づき慰謝料1150万円及び弁護士費用115万円の合計1265万円と遅延損害金の支払を求めた。本件は、いわゆる泉南アスベスト第2陣訴訟についての最高裁平成26年10月9日判決を受けて国が表明した和解方針に則った請求であり、国の賠償責任及び損害額については争いがない。 【争点】 本件の唯一の争点は、損害賠償債務の遅延損害金の起算日を、原告が主張する肺がん診断日(平成20年9月26日)とすべきか、被告が主張する労災認定日(平成22年2月12日)とすべきかにある。被告は、最高裁平成26年判決が是認した大阪高裁平成25年12月25日判決が石綿関連疾患全般について最も重い行政上の決定日又は死亡日を損害発生時と判断しており、じん肺と同様に石綿由来の肺がんも行政上の決定がなければ損害の発生を認定できないと主張した。これに対し原告は、肺がんは病理検査により確定診断可能であり、石綿肺のような特異な進行性を有しないため、発症が確認された時点で損害が発生したと反論した。 【判旨】 裁判所は、原告の主張を全面的に認め、1265万円及び平成20年9月26日からの年5分の割合による遅延損害金の支払を命じた。不法行為に基づく損害賠償債務は損害の発生と同時に遅滞に陥るところ、本件請求は肺がん発症を損害とするものであるから、発症日が遅延損害金起算日となる。原告のCT画像に陰影が発見され増大傾向が認められた平成20年9月26日には肺がんを発症していたと認められる。被告が援用する大阪高裁平成25年判決も、肺がん患者については切除手術日を起算日としており、一律に行政上の決定日を基準とする趣旨とは解されない。石綿由来の肺がんは、肺胞周辺の繊維増殖性変化を基本病変とするじん肺とは異なり、石綿粉じん自体が悪性腫瘍の原因となる疾患であって、ヘルシンキ基準や厚生労働省の認定基準においても石綿肺所見の存在は肺がん認定の必須要件とされていない。したがって、石綿由来の肺がんについては、損害発生の認定にじん肺管理区分認定や労災保険給付決定等の行政上の決定を要するとはいえず、医学的診断により発症が認められた日をもって遅延損害金起算日とするのが相当である。本判決は、国の石綿被害救済和解方針の運用において、肺がん患者の遅延損害金起算日を巡る実務上の争点について、被災者救済に資する判断を示したものとして実務的意義を有する。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。