接見等禁止の裁判に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告事件
判決データ
- 事件番号
- 平成31し113
- 事件名
- 接見等禁止の裁判に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告事件
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 裁判年月日
- 2019年3月13日
- 裁判種別・結果
- 決定・その他
- 裁判官
- 戸倉三郎、山崎敏充、林景一
- 原審裁判所
- 和歌山地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 被告人は、自宅において父親である被害者の背部を包丁で2回突き刺すなどの暴行を加え、胸腔内臓器損傷による出血性ショックで死亡させたとして傷害致死罪で起訴された。現行犯逮捕・勾留・鑑定留置を経て平成30年4月20日に起訴され、同日、検察官の請求により、第1回公判期日終了までの間、弁護人等以外の者との接見等を禁止する決定(刑訴法81条)がされた。 公判前整理手続において主な争点は責任能力の有無・程度に絞られ、検察官は完全責任能力を主張したのに対し、弁護人は飲酒と服用薬の影響で急性の意識障害が生じ心神喪失又は心神耗弱の状態にあったと主張した。弁護人は、責任能力鑑定を依頼したA医師及び情状証人としての被告人の妹について、罪証隠滅の相当な理由はなく、防御準備の必要が高いとして接見等禁止の一部解除を申請したが、職権発動されず、原々裁判の取消し等を求めて準抗告を申し立てたところ、原決定はこれを棄却した。本件はこれに対する特別抗告である。 【争点】 公判前整理手続を経た段階において、接見等禁止決定の終期を第1回公判期日終了までと定めた上、鑑定医及び情状証人たる親族についてまで接見等禁止の効力を及ぼし続けることが、刑訴法81条・426条の解釈適用上許されるか。 【判旨(量刑)】 原決定を取り消し、本件を和歌山地方裁判所に差し戻した。抗告趣意は事実誤認の主張で刑訴法433条の抗告理由に当たらないが、職権調査により、原決定には同法81条・426条の解釈適用を誤った違法があると判断した。 公判前整理手続に付される事件について、接見等禁止の終期を第1回公判期日終了までと定めることは、争点・証拠整理により罪証隠滅の対象やおそれの有無・程度が変動し得るにもかかわらず、禁止を長期間継続させかねない。本件では、公判前整理手続により争点が責任能力に絞られ、A医師については、検察官意見書でも接見等による罪証隠滅のおそれに関する具体的事情が主張されておらず、特段の事情がない限り、接見等により実効的な罪証隠滅に及ぶ現実的なおそれがあるとはいえず、連日的集中審理に向けた準備の必要性が高い。被告人の妹ら他の関係者についても、勾留に加えて接見等を禁止すべき程度の罪証隠滅のおそれに関し、原決定は具体的検討をしていない。これらは決定に影響を及ぼし、取り消さなければ著しく正義に反するとした。 本決定は、接見等禁止は勾留に付随する強い制約であって、公判前整理手続の進展を踏まえた必要性・相当性の具体的吟味を要することを示し、鑑定人や情状証人との防御活動を不当に妨げないよう実務運用を引き締める意義をもつ。