著作権侵害差止等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 イラストレーターである原告が、加工食品の製造販売を業とする被告2社(スマイル―リンク及びイルドリシェス)に対し、被告らが製造・販売した菓子「上野のアイドル 上野あかちゃんパンダ」のパッケージ及び内包菓子に付されたイラスト(被告イラスト)が、原告が平成25年に制作し手ぬぐい用にブログへ掲載していたパンダのイラスト(本件イラスト)を無断で複製したものであると主張した事案である。原告は、著作権(複製権・譲渡権)及び著作者人格権(氏名表示権・同一性保持権)の侵害を理由に、著作権法112条に基づく複製・頒布の差止め及び商品の廃棄、民法709条・719条に基づく損害賠償金470万円、著作権法115条に基づく謝罪広告の掲載を求めた。なお、被告商品のパッケージは、被告スマイル―リンクからパッケージ制作を受託した補助参加人(印刷会社)が提案したものであった。 【争点】 争点は、(1)被告行為が原告の著作権及び著作者人格権を侵害するか、(2)被告らの故意・過失の有無、(3)損害の発生及びその額(特に使用料相当額の料率)、(4)謝罪広告掲載の必要性、の4点である。原告は使用料相当額を販売額の20%と主張したのに対し、被告らは業界相場3〜5%かつ他イラストとの併用を考慮すべきと反論した。 【判旨】 東京地裁は、額を接して向き合う大小2頭のパンダの姿勢・表情・大きさの比などの構成が類似し、表現上の本質的特徴が同一でその程度が非常に高いとして、被告イラストは本件イラストに依拠して有形的に再製されたものと推認し、複製権・譲渡権侵害を認めた。また原告のペンネームが表示されていない点で氏名表示権侵害、耳や目の形状等が無断変更されている点で同一性保持権侵害を肯定した。過失については、加工食品業者として制作を外注していても、補助参加人に依拠の有無を確認すべき注意義務があるとして、被告らの過失を認めた。損害額は、著作権法114条3項による使用料相当額を販売額(666万5200円ではなく366万5200円、6664個分)の5%と認定して18万3260円、氏名表示権・同一性保持権侵害の慰謝料各10万円、弁護士費用4万円の合計42万3260円を認容した。使用料を20%とする原告主張や使用割合を2分の1とする被告主張はいずれも採用されず、被告イラストがパッケージ表面に大きく表示され消費者に強い印象を与えていた点を重視して5%とされた。他方、被告らが訴訟提起後に商品回収に動いていること等を考慮し、差止めと金銭賠償に加えて謝罪広告を命じる必要はないと判断して、その請求は棄却された。本判決は、キャラクターイラストの商品化における発注者の注意義務と使用料相当額算定の実務的基準を示したものとして意義を有する。