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知財

特許取消決定取消請求事件

判決データ

事件番号
平成30行ケ10023
事件名
特許取消決定取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2019年3月14日
裁判官
大鷹一郎山門優筈井卓矢

AI概要

【事案の概要】 本件は、原告(積水化学工業)が保有する特許第5905698号「研磨用クッション材」(請求項3・4)に対して特許異議の申立てがされ、特許庁が請求項3・4に係る特許を取り消す決定をしたため、原告がその取消しを求めて提起した審決取消訴訟である。本件特許は、半導体ウェハの化学機械研磨(CMP)に用いる発泡シートと合成樹脂非発泡シートを積層一体化した研磨用クッション材に関し、厚み・密度・引張強さ・伸び・ショアA硬度・25%圧縮応力など物性値を数値限定するものであった。特許庁は、①訂正請求のうち請求項3を「中間層を介して接合一体化」とする訂正(訂正事項2)は実質的な変更に当たり認められない、②本件発明3・4は日本発条製「ニッパレイEXT」という公知発明等に基づき容易想到であり進歩性を欠く、③本件発明3は先願(特開2011-151373号)記載の発明と同一である、として特許を取り消した。 【争点】 争点は、(1)訂正事項2が特許請求の範囲の減縮か実質的変更か(特許法120条の5第2項・9項、126条6項)、(2)ニッパレイEXTを主引用例とする本件発明3・4の進歩性判断の前提となる公知発明の認定が正しいか、(3)本件発明3と先願発明との同一性(同法29条の2)の判断に誤りがないか、である。 【判旨】 裁判所は、取消事由1について、本件明細書では「積層一体化」と「接合一体化」「接着一体化」とが厳密に使い分けられており、中間層を介する3層構造は別発明として扱われていたから、訂正事項2は特許請求の範囲を実質的に変更するもので、減縮を目的とするものとは認められないとして、原告の主張を退けた。 しかし、取消事由2については、ニッパレイEXTの構造および物性値が本件出願前に公然知られ得る状態にあったとはいえないとした。すなわち、カタログ(甲5)にはニッパレイEXTの「引張強さ」「伸び」「ショアA硬度」の記載がなく、ニッパレイEXGと同じ値とみなす技術的根拠もないうえ、製造元である日本発条自身が「PETが一体であるため測定できない」と回答していることから、当業者が問合せやサンプル測定によって容易に確認できたとも認められない。したがって本件公知発明の認定には誤りがあり、進歩性否定の結論は維持できないと判断した。 取消事由3についても、先願明細書にはニッパレイEXTの物性値の記載がなく、同物性値が出願前に公知とはいえない以上、本件発明3と先願発明との同一性を肯定することはできないとした。 以上より、取消事由2・3はいずれも理由があるとして、特許庁の取消決定を取り消した。本判決は、商品名のみが挙げられた市販品を公知発明として認定する際に、出願前時点で第三者がその構造・物性値を現実に知り得たといえる立証が必要であることを示し、ポスト・ヒンダイト的な情報援用を戒めた点で実務的意義を有する。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。