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知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
平成30行ケ10090
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2019年3月14日
裁判官
森義之森岡礼子古庄研

AI概要

【事案の概要】 本件は、株式会社ブリヂストン(原告)が「タイヤ」と題する発明(特願2014-239280号)について特許出願をしたところ、特許庁が拒絶査定をしたため、これに対する不服審判を請求したものの、特許庁が本件補正を却下した上で請求不成立の審決をしたことから、原告が同審決の取消しを求めた事案である。本願補正発明は、樹脂製のタイヤ骨格部材のクラウン部外周に、金属補強コードを被覆用樹脂層で覆った「被覆コード部材」を螺旋状に巻き付けた構造を有するタイヤであり、被覆コード部材の断面が略四角形状であること、補強コードと被覆用樹脂層との間に配置される接合用樹脂層の層厚が被覆用樹脂層より薄いこと等を特徴とする。特許庁は、同種のタイヤを開示する国際公開2014/175453号(引用文献1)に記載された発明及び周知技術に基づき当業者が容易に発明し得たものとして進歩性を否定した。 【争点】 原告は、(1)引用文献1では樹脂被覆コード同士が直接ではなくクラウン部樹脂を介して溶融接合されているはずだとして甲1発明の認定誤り(相違点Aの看過)、(2)引用文献1では補強コードが「埋設」されているのに審決は「巻き付け」と認定したとの誤り(相違点Cの看過)、(3)被覆コード部材を略四角形状とする構成の容易想到性判断の誤り(阻害要因の存在・顕著な作用効果)、(4)接合用樹脂層の層厚に係る相違点2の判断の誤り等を主張し、審決の進歩性欠如判断を争った。 【判旨】 裁判所は、原告の請求を棄却した。すなわち、(1)引用文献1の記載に照らせば、樹脂被覆コードがクラウン部樹脂と溶融接合することと、隣接する樹脂被覆コード同士が直接溶融接合することは両立し得るから、甲1発明の認定に誤りはない。(2)特許技術用語集や同分野の複数の公開公報の用例によれば、「巻回」は物理的変形を伴う埋設状態での巻き付けをも含む概念であり、本願明細書にも格別の定義がない以上、本願補正発明の「巻回」は甲1発明の「埋設された状態で螺旋状に巻き付け」を包含するから、相違点Cを看過したとの主張は採用できない。(3)略四角形状の被覆コード部材は複数の公開特許公報に記載された周知技術であり、隣接コード同士の接合面積が広いほど補強層の剛性が向上することも知られていたから、丸型に代えて略四角形状を採用することに動機付けが認められ、原告主張の構造上・製造上の阻害要因はいずれも証拠上認められない。また、その作用効果も当業者が予測可能な範囲にとどまる。(4)接合用樹脂層の平均層厚100μmと被覆用樹脂層の平均層厚500μm以上との関係からすれば、製造誤差を考慮しても前者が後者より薄いことは明らかで、相違点2は実質的相違点ではない。以上より進歩性を否定した審決の判断は正当である。 本判決は、タイヤの技術分野における「巻回」という構成要件の解釈において、明細書に特別な定義がない場合には同分野の他特許公報における用例を参酌して広く埋設態様をも含み得ると判示した点に意義があり、クレーム用語の通常意義を認定する際の実務的指針を示すものといえる。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。