映像著作権侵害差止等請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 放送番組の企画・制作を業とする控訴人(一審原告)は、京都市右京区嵯峨水尾地域の振興活動の一環として制作された柚子のプロモーション映像(本件各ゆずの里映像)、貴船神社のイメージ映像(本件貴船神社映像)、中国向けウェブサイト用映像(本件P4さん映像)及び関連写真の著作権を有すると主張し、被控訴人会社(菓子等の製造販売業者)及びその元代表者が、これらを通販サイトや自社ウェブサイトに無断掲載したとして、著作権法112条に基づく差止め・廃棄及び損害賠償合計1406万7000円等を求めた。原審(京都地裁)は請求をすべて棄却し、控訴人が控訴した。 【争点】 映像の著作権の帰属(本件組合への合有的帰属の成否)、著作権の譲渡の有無、使用許諾の有無、並びに貴船神社映像及びP4さん映像の複製・使用の有無が争われた。とくに、控訴人代表者P3・被控訴人P1・第三者P2が設立した有限責任事業組合(LLP)が映画製作者(著作権法29条1項)に当たるかが中心的論点となった。 【判旨】 大阪高裁は控訴を棄却した。まず本件各ゆずの里映像のうち第5版以降については、DVD表面及び映像中に「ゆず姫有限責任事業組合」の名称が、第7版には「製作著作」との記載があること等から、本件組合が企画・責任をもって製作した映画の著作物であり、P3は著作者として製作に参加したものと認定。著作権法29条1項により著作権は映画製作者である本件組合に帰属するが、同組合は法人格を有しないため組合員に合有的に帰属すると判示した。第1版から第4版についても、本件組合の活動に活用するための習作的性格を有し、組合成立後は第5版以降と同様に取り扱うことが当事者間で了解されていたとして、同様に組合員への合有的帰属を認めた。仮に著作権が控訴人に帰属するとしても、本件組合の事業遂行上、被控訴人会社のウェブサイト下層ページに映像を掲載することが当然の前提であり、P3自ら企画会議で第5版DVDを交付していること、控訴人が約7年間にわたり費用・報酬の請求をしなかったこと等の諸事情に照らし、被控訴人らに対する使用許諾が認められるとした。本件貴船神社映像については、被控訴人らによる複製・公衆送信等の使用を認めるに足りる証拠がなく、著作権侵害は成立しない。本件P4さん映像については、被控訴人会社が控訴人に18万円を支払って中国向けウェブサイト用に発注・納品を受けたものであり、請求書・領収書の記載に照らし、その目的範囲内での使用は許諾されていたと認定した。本判決は、複数当事者の共同事業において制作された映像につきLLPが映画製作者に該当する場合の著作権帰属を明示した点、及び黙示の使用許諾の認定において継続的な事業関係や長期間の無請求といった事情が重視されることを示した事例として、著作権実務上参考となる。