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知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
平成30行ケ10034
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2019年3月20日
裁判官
高部眞規子杉浦正樹片瀬亮

AI概要

【事案の概要】 本件は、液晶表示デバイスに関する特許第3828158号(発明の名称「液晶表示デバイス」、平成9年6月18日出願、平成18年7月14日設定登録)を有する原告(メルク・パテント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング)が、被告による無効審判請求に基づき請求項1、4~14、25~34に係る特許を無効とした特許庁の審決の取消しを求めた事件である。本件特許は、偏光板の光学的性質を広い視角範囲にわたり増強させるための補償膜として、ホメオトロピック配向または傾斜したホメオトロピック配向を有するアニソトロピックポリマー層を用いる液晶表示デバイス等に関するものであり、その補償膜を構成する重合性メソゲン化合物を一般式Iによって規定する点に特徴がある。特許庁は、サポート要件違反(特許法36条6項1号)と新規性・進歩性欠如(同法29条1項3号、2項)を理由に特許を無効と判断し、原告はこれを不服として、手続違背、サポート要件判断の誤り、新規性・進歩性判断の誤りを取消事由として主張した。 【争点】 主たる争点は、(1)第2次審決の予告後、更なる審決の予告をしないまま本件審決をしたことが特許法164条の2第1項に反する手続違背となるか、(2)本件訂正発明の特許請求の範囲に記載された発明が発明の詳細な説明に記載されたものといえるか(サポート要件適合性)、(3)引用例との関係で新規性・進歩性が認められるかである。とりわけサポート要件との関係では、式Iで表される膨大な数のメソゲン化合物のうち、実施例に記載された限られた化合物以外の広範な化合物についても、当業者が課題を解決できると認識できる範囲にあるといえるかが中心的争点となった。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、原告の請求をいずれも棄却した。手続違背については、第2予告と本件審決とでは認定した発明の課題に実質的な差異はなく、また引用発明の認定にも細部の相違はあるものの実質的には訂正の機会が与えられていたものといえるから、再度の審決の予告をする必要はないとして、特許法164条の2第1項違反を否定した。サポート要件については、特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するためには、一般式で多数の化合物を包含する発明にあっては、発明の詳細な説明において、当該式が示す範囲と得られる効果との関係の技術的意味を当業者が理解できる程度に記載するか、又は出願時の技術常識を参酌して所望の効果が得られると認識できる程度に具体例を開示することを要するとの規範を示した上、本件訂正明細書の実施例は重合性基Pがアクリレート基、スペーサー基Spが炭素数3又は6個の直鎖状アルキレン基、Xが-O-という限られた化合物(化合物⑴~⑻)のみであり、これ以外の広範な化合物まで課題解決範囲に含まれると認識できる技術常識の立証もないとして、いずれの訂正発明もサポート要件を満たさないと結論づけた。加えて、「高融点を示し配向及び重合に高温を要するという欠点を有していない」という課題との関係でも、従来技術として明細書が欠点ありとして掲げた化合物自体が式Iの範囲に含まれるという明細書内部の矛盾を指摘した。本判決は、化学分野における一般式クレームについてのサポート要件の判断枠組みを確認した事例として実務上参考になり、明細書における具体例の開示範囲と特許請求の範囲の一般化可能性との関係を厳格に問うた点に意義がある。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。