AI概要
【事案の概要】 本件は、大阪府警察官であった被告人Aが、警備課公安係等に勤務しつつ当直勤務で拾得物件の保管管理等にも従事していた地位を悪用し、友人である被告人Bと共謀の上、警察署に保管中の現金等を騙し取った事案である。起訴された罪は、地方公務員法違反(守秘義務違反)、詐欺、業務上横領の三罪である。 具体的には、第一に、被告人Aは平成29年11月から平成30年6月までの間、9回にわたり、大阪府警察遺失物管理システムを通じて職務上知り得た拾得物件情報(拾得日時・場所、金額、封筒や財布の特徴等)を電話等で被告人Bに漏えいした。第二に、被告人両名は共謀の上、8回にわたり被告人Bが遺失者になりすまして遺失届出書を提出し、警察官等から現金合計186万円の交付を受けた。第三に、被告人両名はBの知人Cも引き入れ、3回にわたり同様の手口で現金合計103万円を詐取した。第四に、被告人Aが当直勤務中に業務上保管していた現金16万円余在中の長財布について、遺失者を装って来署した被告人Bに返還手続を装って手交し、業務上横領した。 【判旨(量刑)】 大阪地裁は、被告人Aを懲役3年(5年間執行猶予)、被告人Bを懲役2年6月(4年間執行猶予)に処した(求刑は各懲役3年6月、懲役3年)。 量刑にあたり、裁判所は、本件が遺失物管理システムを悪用し約7か月の間に12回もの犯行を重ね、合計300万円を超える多額を詐取した入念に計画された巧妙な犯行であり、市民の警察官に対する信頼を失墜させ強い社会的非難を免れないと評価した。被告人Aは、市民の財産を守るべき警察官の立場にありながら遊ぶ金欲しさに犯行を発案し、Bを引き入れ、犯行に不可欠な拾得物件情報を漏えいし続けた点で責任が特に重いとされた。被告人Bも、警察官が共犯なら発覚しないと安易に加担したばかりか、発覚の危険を分散するため知人Cを引き入れた点で責任が重いと指摘された。 他方で、被害金全額の弁償と被害品の返還、前科前歴がないこと、一貫した事実の認否と反省、父親の監督誓約など酌量すべき事情も認められ、実刑は相当でないと判断されたものである。なお、被告人Bについては業務上占有者の身分を欠くため、刑法65条2項により単純横領罪の刑が適用されている点が法令適用上の特徴である。