損害賠償請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 平成30行コ35
- 事件名
- 損害賠償請求控訴事件
- 裁判所
- 札幌高等裁判所
- 裁判年月日
- 2019年3月20日
- 裁判種別・結果
- 棄却
- 裁判官
- 草野真人、下澤良太、石田明彦
- 原審裁判所
- 札幌地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 北海道の住民である控訴人らが、北海道と協同組合との間で締結された道有林の立木売買契約及び育林事業に係る請負契約について、生物多様性条約や北海道森林づくり条例に違反するなどと主張し、地方自治法242条の2第1項4号に基づく住民訴訟を提起した事案である。控訴人らは、当時の北海道日高森づくりセンター所長Z及びこれを監督すべき立場にあった日高支庁長Y1に対し、連帯して50万円の損害賠償請求をするよう被控訴人(北海道知事)に求めた。本件は差戻し後の控訴審であり、不服の範囲は、本件売買契約に関するZ及びY1への50万円連帯支払請求部分に限られる。 【争点】 争点は、契約上予定された伐採範囲である「10伐区」の区域を超える違法な伐採(越境伐採)が行われたか否かであり、具体的には、現地調査で確認された「越境1」と称される部分が、当初から10伐区(43小班南西部分)に含まれていたかどうかである。控訴人らは、本件伐区図及び本件足取図には10伐区の境界として越境1に相当する部分は存在せず、当該部分の立木には伐採を予定するナンバーテープも貼付されていなかったから、越境1は10伐区に含まれないと主張した。 【判旨】 札幌高裁は、控訴をいずれも棄却した。裁判所は、本件基本図には当初43小班南西部分が黒線で記載されていたが、本件伐区図では赤線により主に西側方向に拡張され、52小班の区画の隙間に突起状に食い込む形状(伐区図突起部分)が存在することを認定した。本件足取図によれば、当該伐区図突起部分の立木にはピンク色の番号832、833、835のナンバーテープが貼付されており、控訴人らが現地調査で越境1において確認したナンバーテープと一致する。越境1と伐区図突起部分は形状及び52小班との位置関係において酷似しており、両者は同一部分であると認めるのが合理的であると判断した。したがって、越境1は10伐区の区域内に含まれ、越境伐採は行われていないから、本件売買契約によって北海道に損害は生じておらず、Z及びY1に対する損害賠償請求をすべき義務は存しないとして、控訴人らの請求を棄却した原判決を維持した。住民訴訟4号請求は、自治体の財務会計行為により損害が生じた場合に住民が代位的に責任追及を求める制度であるが、本件では損害発生の前提たる違法伐採が証拠上認められず、請求は理由なしとされた。