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下級裁

損害賠償請求事件

判決データ

事件番号
平成29ワ131
事件名
損害賠償請求事件
裁判所
鳥取地方裁判所
裁判年月日
2019年3月22日
裁判官
藤澤裕介姥迫浩司木内悠介

AI概要

【事案の概要】 平成28年12月14日早朝、鳥取県境港に帰航中のずわいがに漁船「大福丸」が、美保関灯台北方沖で転覆・沈没し、乗組員9名全員が死亡した海難事故に関する損害賠償請求事件である。 死亡乗組員5名の相続人ら14名及び同居親1名からなる原告らは、①船主である被告B1有限会社に対し商法690条(船舶所有者の責任)又は雇用契約上の安全配慮義務違反に基づき、代表取締役であった被告B2に対し民法715条2項(代理監督者責任)等に基づき、合計約5億1151万円の損害賠償を請求した(甲・乙事件)。さらに②事故後に無資力となった被告B1有限会社が、取締役B3への退職慰労金3900万円支給、関連会社B4への5511万円余の債務免除等を行ったことにつき、詐害行為取消しを求めた(丙事件)。 本件事故は、主機停止後に自航能力を失った大福丸を、船長Hの判断で僚船「第二共福丸」にえい航させたところ、復原性低下・乾舷減少に加えてえい航索の長さが不十分で、波高の高い事故現場付近をえい航速力5ノットで進んだため転覆したものであった。 【争点】 主な争点は、H船長に堪航能力等検査義務違反・人命救助義務違反があったか(船員法8条、12条)、使用者である被告B1有限会社の商法690条責任及び被告B2の代理監督者責任の有無、並びに退職慰労金支払・債務免除等の詐害行為該当性である。 【判旨】 裁判所は、発航前の堪航能力等検査義務違反は認めなかったものの、主機停止時点で大福丸には「急迫した危険」(船員法12条)が生じていたと認定し、H船長は①直ちに海上保安庁に通報し、②主機停止現場付近で錨泊して救助を待つべき義務があったとした。荒天下でえい航経験のない僚船へのえい航依頼は、通報・錨泊に比して相当高度の危険を伴い、合理性を欠くと判断した。加えて乗組員への救命胴衣着用指示の懈怠も義務違反と認めた。これらの義務違反と事故との因果関係を肯定し、船主たる被告B1有限会社に商法690条に基づく責任を、経営実務を担っていた被告B2に民法715条2項の代理監督者責任を認めた。 詐害行為取消請求については、取締役報酬は義務的経費として詐害行為性を否定したが、事故後の株主総会決議に基づく被告B3への退職慰労金3900万円支払及び関連会社B4への債務免除5511万円余については、無資力状態での財産減少行為であり、受益者の悪意も認められるとして取消しを認容した。ただし債務免除については意思表示のみで効力を生ずる性質から、取消しのみで原状回復が可能であり、免除額相当の金銭請求は棄却した。 本判決は、船員法12条の人命救助義務が公法上の義務にとどまらず、船長が乗組員に対して負う職務上の注意義務を構成することを明示し、商法690条の船舶所有者責任を基礎づけた点で実務的意義がある。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。