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知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
平成30行ケ10088
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2019年3月26日
裁判官
大鷹一郎山門優筈井卓矢

AI概要

【事案の概要】 原告は、「格納容器収納式フライホイール一体型垂直軸風車発電機」と称する発明について特許出願をしたが、拒絶査定を受けたため拒絶査定不服審判を請求した。特許庁は、本願発明は、原告自身が先に出願した実用新案(引用例1)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであり(特許法29条2項)、かつ明細書の記載が実施可能要件(同法36条4項1号)を満たさないとして、審判請求不成立の審決をした。本件は、原告がその取消しを求めた審決取消訴訟である。本願発明は、垂直軸風車の主軸下部に、発電機が要求するトルク以上のトルクを放出できるスケールのフライホイールを装備し、1000kW以上の大容量発電を可能としたことを特徴とする。 【争点】 主たる争点は、(1)自己の先願実用新案(引用例1)が特許法29条1項3号の「特許出願前に頒布された刊行物」に該当し同条2項の引用例として適格か、(2)引用発明1との相違点(フライホイールが発電機要求トルク以上のトルクを放出可能なスケールを持つ点)が実質的相違点として進歩性を基礎づけるか、(3)明細書の実施可能要件充足性である。原告は、特許法29条の2が同一発明者・出願人の後願を保護する趣旨からすれば、自己の先願実用新案をもって後願本願を排除できないと主張した。 【判旨】 知財高裁は、原告の請求を棄却した。第1に、特許法29条1項3号の「特許出願前に頒布された刊行物に記載された発明」について、当該発明の発明者または出願人が本願の発明者・出願人と同一である場合にこれを除外する旨の規定は特許法に存在せず、29条2項の引用例適格についても同様であるとして、自己の先願実用新案を引用例とできるとした。特許法29条の2は別個の先願主義の規定であって、29条2項の適用場面を限定する根拠とならない。第2に、「スケール」は明細書の記載から「質量」および「径(半径)」を指すと解され、引用例1には大容量(MW級、すなわち1000kW以上)出力のフライホイール付き垂直軸風車発電機が開示されており、回転機構には主軸と軸受との摩擦損失が不可避的に発生することを考慮すれば、引用発明1のフライホイールは発電機の要求トルク以上のトルクを放出可能なスケールを備えていると理解できる。したがって、本件審決が認定した相違点は実質的な相違点ではなく、当業者は引用例1に基づいて本願発明を容易に想到できたと判断した。取消事由1に理由がない以上、その余の取消事由について判断するまでもなく審決に違法はないとして、請求を棄却した。本判決は、自己の先願刊行物であっても特許法29条2項の引用例となり得ることを明確にし、出願戦略上、実用新案登録に基づく特許出願を行う際には基礎出願との関係で新規性・進歩性を確保する設計が不可欠であることを示した実務上意義ある判断である。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。