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下級裁

覚せい剤取締法違反被告事件

判決データ

事件番号
平成31う53
事件名
覚せい剤取締法違反被告事件
裁判所
大阪高等裁判所
裁判年月日
2019年3月27日
裁判種別・結果
破棄自判
裁判官
村山浩昭田中健司畑口泰成

AI概要

【事案の概要】 被告人が、自宅マンション居室で覚せい剤を加熱・吸引して使用し(使用)、さらに自宅で覚せい剤結晶約0.023gを所持した(所持)として、覚せい剤取締法違反に問われた事案である。被告人は、平成28年4月に覚せい剤自己使用2件で懲役2年・4年間執行猶予の判決を受け、その猶予期間中に本件各犯行に及んだ。被告人は10代から精神科に通院し、うつ病、境界性人格障害、解離性障害等と診断されてきた経歴があり、かつて交際相手から強制的に覚せい剤を使用させられた経験や身体的・性的暴力を受けた被害もあった。被告人は、本件当時、実在しない「おっちゃん」なる人物(かつての暴力的な元交際相手の影響を受けた別人格)に憑依され、その指示に抗しきれずに使用に至ったと説明していた。原判決は、刑の一部執行猶予を付した上で実刑部分を含む判決を言い渡したため、被告人側が事実誤認(完全責任能力の認定)、訴訟手続の法令違反(精神鑑定請求却下)、量刑不当を主張して控訴した。 【争点】 被告人が本件覚せい剤使用の時点において、解離性同一性障害(憑依型・不完全型)の影響により心神耗弱の状態にあったといえるか、すなわち完全責任能力が認められるかが中心的争点となった。私的鑑定を行った精神科医の意見書および証言を、責任能力判断の基礎として信用できるかが問題とされた。 【判旨(量刑)】 大阪高裁は、原判決を破棄し、被告人を懲役1年、4年間執行猶予(保護観察付)とした。裁判所は、私的鑑定であっても精神科医が解離性同一性障害について専門的知見を有し、供述調書・面接等に基づいて合理的に判断していることから、鑑定意見は尊重に値するとし、原判決が指摘した批判はいずれも当たらないとした。その上で、不完全型の解離性同一性障害では主人格が併存していても別人格による支配の程度を個別に検討すべきであり、本件では「おっちゃん」なる別人格に体を乗っ取られ、「覚せい剤を使え」との指示に逆らうことが困難であった疑いが否定できないと判断した。合目的的な行動や違法性の意識は、別人格自身が露見回避のために働いていた可能性があり、完全責任能力を強く示唆するものではないとした。結論として、責任能力は著しく減弱していた疑いが排斥できず心神耗弱にあたるとし、法律上の減軽をした上で量刑を検討した。再犯であり実刑相当の事案ではあるが、犯行が解離性同一性障害の強い影響下でなされたこと、処罰よりも治療による再犯防止が有効であること、父親の更生支援や相談支援専門員による支援体制が整っていることを総合考慮し、刑法25条2項により再度の執行猶予を付すのが相当とした。本判決は、精神障害と薬物事犯が交錯する事案において、私的鑑定の位置づけと再度の執行猶予の運用を示した実務的意義を有する。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。