生命身体加害誘拐,逮捕監禁,傷害
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告人は、共犯者A、B、Cと共謀の上、平成30年2月23日、被害者D(当時28歳)を生命身体加害目的で誘拐した上、被告人方マンションにおいて、手足を紐様のもので緊縛し、顔面を複数回殴打して全治約3週間の傷害を負わせ、最終的には黒色手提げバッグに詰め込んで運び出したとして、生命身体加害誘拐罪(刑法225条)、逮捕監禁罪(同220条)、傷害罪(同204条)の共同正犯として起訴された事案である。被害者は犯行後に死亡している。被告人は、Bの指示の下、資金運用の依頼名目で被害者を呼び出し、同居人が会いたがっているとの虚言を用いて被害者を被告人方に誘い込む実行役を担った上、室内では共犯者とともに被害者の身体を押さえ付け、足首を縛り、衣服を切断するなどの行為に及んでいた。 【争点】 争点は、①被告人に生命身体加害誘拐の故意及び共謀があったか、②傷害罪について被告人が正犯意思を有していたか(弁護人は幇助犯にとどまると主張)の2点である。被告人は、共犯者の加害意図を知らず、指示に従ったにすぎないと弁解していた。 【判旨(量刑)】 裁判所は、被告人が前日にCに対しガラステーブルをベランダに移動させるよう指示した事実に着目し、これが被害者に対する暴行の発生を当然にあり得べき成り行きとして想定していたことを示すものとして、遅くともこの時点で共犯者との間に生命身体加害目的の誘拐及び暴行につき意思の連絡があったと認定した。また、当日の騒然とした状況下でもなお指示に従って被害者の身体を押さえ付けるなどの物理的実力行使に及んだこと、Aから報酬の示唆を受け利欲目的で関与していたことから、自己の犯罪を行う意思(正犯意思)を認め、第1・第3の各犯行について共同正犯としての罪責を負うと判断した。量刑については、4人がかりで被害者を拘束・殴打しバッグに詰め込むという犯行態様は被害者の人格を無視した残忍なものであり、一定の計画性も認められ、被害者がその後死亡していることも踏まえ遺族の峻烈な処罰感情も考慮すべきとした。被告人の刑責は従属的立場ながらも主体的・積極的関与があり、C より重くA、Bに次ぐ位置付けとされた。事実関係を概ね認めて反省し、遺族に合計200万円を弁償していること、前科がないこと、母の監督誓約等の酌量事情を考慮しても執行猶予相当とはいえず、酌量は刑期で考慮することとし、求刑懲役4年に対し、被告人を懲役3年の実刑に処した(未決勾留日数250日算入)。