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知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
平成30行ケ10152
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2019年4月11日
裁判官
大鷹一郎古河謙一関根澄子

AI概要

【事案の概要】 原告(オランダ法人コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ)は、平成28年7月14日、意匠に係る物品を「Handle for electric toothbrush」(電動歯ブラシ本体の把持部)とする意匠について、パリ条約による優先権(同年2月22日)を主張して国際意匠登録出願をした。特許庁は、平成29年10月18日付けで拒絶査定をし、原告は拒絶査定不服審判を請求したが、特許庁は平成30年6月18日、本願意匠は優先日前に頒布された刊行物である意匠公報に記載された意匠登録第1432629号の意匠(引用意匠、意匠に係る物品「電気歯ブラシ本体」)と類似し、意匠法3条1項3号に該当するとして、審判請求は成り立たない旨の審決をした。本件は、原告がその審決の取消しを求めた事案である。 本願意匠と引用意匠は、いずれも、隅丸長方形状の底部から僅かに正面側に偏心しつつ円状の上面にかけて背面側を窄めた略円柱状の本体把持部と、その上面に配された略円柱状の基台部および縦長板状のシャフト部とで構成される電動歯ブラシ本体把持部であるという基本的構成を共通にする一方、(1)本願意匠は動作制御用釦を本体把持部正面に縦に2つ配するのに対し引用意匠は1つのみである点、(2)釦の外形線の一重・二重の差、(3)環状細線の位置、(4)本体把持部下部の切り替え線と窄まりの有無、(5)基台部の段差形状などの点で相違していた。 【争点】 本願意匠と引用意匠の類否判断の当否、すなわち、両意匠が意匠全体として需要者に共通の美感を起こさせるか否かが争点である。具体的には、(1)共通点1(本体把持部の偏心を含む全体形状)および共通点2(シャフト部の傾倒および背面凹部)が両意匠の類否を決定付ける要素として要部を構成するか、(2)本願意匠の動作制御釦が縦に2つ配され上下で径が僅かに異なる態様(相違点1・2)が需要者の注意を強く引く要部となり、引用意匠と異なる美感を生じさせるかが問題とされた。 【判旨】 知財高裁第4部は、原告の請求を棄却した。裁判所はまず、意匠に係る物品が電動歯ブラシ本体把持部であり、主たる需要者は一般消費者であるところ、かかる需要者は、シャフト部にブラシヘッドを装着して口腔内で歯磨きを行うという通常の使用態様を踏まえ、本体把持部の握りやすさや操作の容易さを重視し、本体把持部の全体形状に特に注目すると認定した。そのうえで、共通点1は本体把持部の偏心を含む全体形状に係るもので握りやすさ・操作性に及ぼす影響が大きく、共通点2はシャフト部の傾倒がブラシヘッドの歯への当たり角度に影響することから、これらの共通点は需要者に共通の美感を起こさせる要素であると判断した。 他方、動作制御釦については、その位置・大きさ・形態は操作時に一定の注意をひく部分ではあるものの、最も強く需要者の注意をひく部分とはいえないとしたうえ、電動歯ブラシに動作制御釦を2つ配すること自体は優先日前に普通に行われており(甲2、甲3)、上の釦より下の釦の径を僅かに小さく形成する態様も公知であった(乙1)ことから、相違点1・2の態様は特徴的とはいえず、需要者の全体的な美感に影響するものとは認められないとした。原告の主張する共通点1・2の評価は一部形状のみに着目したもので採用できず、結局、相違点の印象は共通点の印象を凌駕するものではないとして、本願意匠は引用意匠に類似し意匠法3条1項3号に該当するとの審決の判断に誤りはないと結論付けた。 本判決は、電動歯ブラシ本体把持部という実用品の意匠について、需要者の通常の使用態様から把持部全体の形状を要部と捉え、操作釦の数や径の微差を共通の美感を凌駕しない副次的相違と位置付けた事例であり、機能と美感が密接に関連する日用品意匠の類否判断の実務的指針として参照される。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。