AI概要
【事案の概要】 本件は、外壁塗装リフォーム業者である原告(株式会社PGSホーム)が、同業者である被告(株式会社オンテックス)に対し、被告が自ら発注・管理する口コミサイト(URL: gaihekitosou-navi.net、「みんなのおすすめ、塗装屋さん」と題するサイト)において被告を常に「最新ランキングベスト5」の1位と表示していたことが、旧不正競争防止法2条1項13号(現行14号)が禁止する「役務の質、内容について誤認させるような表示」(品質等誤認表示)に当たるとして、同法4条に基づき損害金264万円及び遅延損害金の支払を求めた事案である。 原告は、当該サイトが被告発注で公開前から被告を1位に設定していたこと、SEO対策が被告に競合する大阪地域の業者向けに強く意識されていたこと、被告が顧客にプレゼントを渡して口コミ投稿を誘引し、自らも口コミを投稿していたことなどから、サイトは被告の広告そのものであり、そのランキング表示は、被告の提供するサービスが全国の外壁塗装業者の中で最も優良であると閲覧者を誤認させるものであると主張した。被告は、掲載は口コミ件数に基づく中立的なランキングであり、一般ユーザーの投稿結果を集約したものにすぎないと反論した。 【争点】 争点は、①本件サイトが被告の提供する「役務…の広告」に当たるか、②本件サイトの表示、特にランキング1位表示が「役務の質、内容…について誤認させるような表示」(品質等誤認表示)に当たるか、③原告に損害が発生したか及びその額の3点である。特に、口コミサイトの形式をとる広告媒体における順位表示が品質等誤認表示に該当しうるか、いかなる場合に架空口コミの投入による順位操作が誤認表示として違法と評価されるかが中心的な論点となった。 【判旨】 大阪地裁は、被告の不正競争行為を認定しつつ、損害額を限定して原告の請求を一部認容し、被告に8万円及び平成27年9月1日からの年5分の遅延損害金の支払を命じた。 まず争点2について、サイト閲覧者は、「みんなのおすすめ」というタイトルの下でランキングを見る以上、単なる口コミ件数ではなく、投稿内容に基づくサービスの質・内容の評価が反映されていると認識するのが通常であるとし、被告が援用する「ランキングは口コミ件数で決めている」旨の注記も、目立ちにくい位置にあることや別の箇所の記載と整合しないことから、この認識を覆すに足りないとした。他方で、閲覧者は口コミという主観的評価の集積にすぎないことも理解しているから、客観的優劣まで認識するわけではないと整理した。その上で、サイト公開日(平成24年3月5日)より前の日付の口コミが5件存在することや、投稿フォーム仕様と齟齬する「地域」欄表示の口コミが存在することから、被告の関与の下で架空の口コミを投入し、公開当初から1位表示を作出していたと認定し、ランキング表示は実際の投稿実態とかい離しており、役務の質・内容について誤認させる表示に該当すると判断した。争点1についても、発注者である被告の一連の態度からサイトは被告の広告であると認定した。 争点3については、原告の営業上の信用毀損としての無形損害は否定した。もっとも、発信者情報開示訴訟(本件第1訴訟)に要した弁護士費用の一部7万円と本件訴訟の弁護士費用1万円の合計8万円については、プロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示制度の趣旨に照らし、被告の不正競争行為と相当因果関係ある損害と認めた。遅延損害金の起算日は、継続的不正競争行為が終了した時点(サイト閉鎖後の平成27年9月1日)とした。本判決は、口コミサイトを装った自社有利ランキングという、いわゆるステルスマーケティングの一類型について、不正競争防止法の品質等誤認表示による違法性を認めた実務上の先例として意義を有する。