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行政

所得税更正処分等取消請求事件,法人税更正処分等取消請求事件

判決データ

事件番号
平成27行ウ308
事件名
所得税更正処分等取消請求事件,法人税更正処分等取消請求事件
裁判所
大阪地方裁判所
裁判年月日
2019年4月11日

AI概要

【事案の概要】 本件は、精神科医療を営む医療法人A2(A14病院を運営)の出資持分約3000万円口について、A15一族から譲受代金18億4800万円で譲り受けたのが原告会社(株式会社A1)か、その発起人である原告A4ら三兄弟かが争われた、所得税・法人税の更正処分等取消請求事件である。平成19年9月、A12グループ(父A7が設立した医療法人A9を中心とするグループ)が、コンサルタントA23の主導するスキームに従い、A14病院を譲り受けるための受皿会社(MS法人)として原告会社を設立し、A13社から借入れた24億円を原資として本件出資持分の譲受代金を支払った。ところが、その後、A12グループの資金繰り悪化を受けて、平成20年9月、A2が本件出資持分の払戻請求権に基づき合計29億1000万円を原告会社名義口座に振り込む方法で払戻し(本件払戻し)を行い、これが借入金の返済等に充てられた。課税庁は、契約書・譲渡証書・社員総会議事録等に譲受人・持分権者として原告A4ら個人の名前が記載されていること等から、本件払戻金は原告A4らに帰属する配当所得であるとして、所得税の更正・重加算税賦課決定のほか、原告会社に対し法人税の益金不算入(法人税法23条・24条)を否認する更正処分等を行った。原告らは、本件払戻金は実質的に原告会社に帰属するとしてこれらの取消しを求めた。 【争点】 主たる争点は、本件払戻金に係る所得が原告A4ら個人に帰属するか、原告会社に帰属するかである。被告(国)は、①契約書・譲渡証書等の文書上、譲受人は原告A4らとされていること、②医療法上、営利法人である株式会社は医療法人の社員となりえず、本件定款8条2項に基づく出資持分の払戻しを受けられないから、将来の資金化を想定して原告会社が譲受人となったとは考えられないこと、③原告会社には事業実体がなく、課税回避目的で設立された法人にすぎないこと等を主張した。そのほか、国税通則法68条1項の隠蔽仮装該当性(重加算税)、同法70条4項の偽りその他不正の行為該当性(除斥期間)、同法74条の9・74条の10の事前通知違反の有無、更正通知書の理由付記の違法性も争点となった。 【判旨】 大阪地裁は、所得税法12条・法人税法11条の実質所得者課税の原則に照らし、本件譲受スキームの内容及び実行状況、関連文書の記載、関係者の認識、譲受資金の提供者、代金及び払戻金の決済方法、経済的利益の帰属先等、諸般の事情を総合的に考慮して判断すべきであるとした上で、次のとおり判示して全部取消しを認めた。すなわち、本件譲受スキームは、コンサルタントのA23が主導してMS法人たる原告会社を受皿とする設計であり、その内容は一貫していたこと、原告会社が本件借入金を原資として譲受代金を出捐し、譲受代金及び本件払戻金の決済もすべて原告会社名義口座を通じて行われ、原告A4ら個人は一切出捐していないこと、本件払戻金による経済的利益はすべて原告会社に帰属し、原告A4らには何らの利益還元もなかったこと、関係文書上A15一族との間の書類で原告A4らが譲受人と記載された背景には、当時A14病院内部でA24が理事長ら経営陣と対立し訴訟・妨害行為を展開していたため、新設受皿会社の関与を伏せて経営権譲渡を円滑化する必要があったという合理的事情が存在すること、原告会社と原告A4らの間の本件譲受に関する証や基本契約書2・覚書2では実質の持分権者が原告会社であることが一貫して確認されていることを指摘した。そして、A15一族側も、代金が確実に支払われれば譲受主体が個人か法人かに格別の関心はなかったと認められるとし、本件譲受取引において原告A4らは単なる名義人にすぎず、本件出資持分を譲り受けたのは原告会社であり、本件払戻金に係る所得も原告会社に帰属すると認定した。営利法人が医療法人の出資持分を譲り受けても新たな譲受人への有償譲渡により投下資本の回収は可能であるから、払戻しを受けられないから譲受人となりえないとの被告主張も排斥された。本判決は、形式的な契約書の名義や社員総会議事録の記載ではなく、スキーム設計、資金の流れ、経済的利益の帰属先を重視して実質所得者課税の原則を適用した裁判例であり、医療法人のM&A実務や受皿会社を用いる税務ストラクチャーにおいて、契約書面の整備と実質との整合性がいかに重要かを示した実務上重要な判断である。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。