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知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
平成30行ケ10117
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2019年4月12日
裁判官
高部眞規子杉浦正樹片瀬亮

AI概要

【事案の概要】 本件は、米国法人である原告が、発明の名称を「脂質含有組成物およびその使用方法」とする特許出願(分割出願、請求項数47)をしたところ、特許庁から拒絶査定を受けたため不服審判を請求した事件である。審判手続中、原告は請求項の追加を含む補正(本件補正)を行ったが、特許庁は平成30年4月3日、本願発明(請求項1)は特許法36条6項2号の明確性要件および同項1号のサポート要件に適合しないとして、審判請求不成立の審決をした。本件は、その審決取消しを求める訴訟である。 本願発明は、対象(ヒト)への投与のための脂質含有配合物を選択するための指標として、対象の年齢、性別、食餌、体重、身体活動レベル、脂質忍容性レベル、医学的状態、家族の病歴、生活圏の周囲の温度範囲のうち一つ以上の要素を使用することに関する発明であり、ω-6脂肪酸とω-3脂肪酸の比率や用量について数値限定が付されているものである。 【争点】 争点は、(1)審判合議体が補正で追加された請求項について判断しなかったこと等の手続違反の有無、(2)請求項1の記載が明確性要件に適合するかの判断の誤りの有無、(3)特定事項G(ω-6の増加が緩やか等かつ用量40グラム以下)に関するサポート要件の判断の誤りの有無、の3点である。 【判旨】 知財高裁第1部(高部眞規子裁判長)は、取消事由2および3に理由があるとして、本件審決を取り消した。 まず取消事由1(手続違反)については、特許法は一つの特許出願に対し一つの特許査定または特許審決をする基本構造を前提としており、請求項ごとに個別に特許が付与されるものではない(最判平成20年7月10日民集62巻7号1905頁参照)から、審判合議体が一つの請求項に拒絶理由があると判断すれば、補正で追加された他の請求項について判断しなくとも違法ではないとして、原告の主張を排斥した。審理不尽の主張も採用しなかった。 取消事由2(明確性要件)については、明確性の判断は、特許請求の範囲・明細書・図面の記載と当業者の技術常識を基礎に、「第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否か」の観点から判断すべきであるとした上で、請求項の各発明特定事項をAからIまで分説して検討した。特定事項Aの「指標としての使用」は、対象の要素をメルクマールにして脂質含有配合物の構成を決定することと解すれば足り、決定される配合物がありふれていることは発明の外延の明確性とは別問題であり、要素を用いたか否かは対象方法の認定の問題で技術的範囲の画定の問題ではないと判示した。また特定事項Cの「相互に補完する一日用量」についても、明細書の記載を参酌すれば、脂質含有配合物が一日用量に相当する脂肪酸を含み当該脂肪酸がω-6・ω-3脂肪酸を含む旨特定するものと解することができ、不明確とはいえないとした。 取消事由3(サポート要件)については、審決はサポート要件を実質的に判断していないと指摘し、明細書【0042】およびω-6脂肪酸を40グラム以下とする実施例3【表9】【表11】・実施例6【表13】の記載から、特定事項Gの技術的事項は本願明細書に記載されているといえるとして、審決の形式的判断を誤りと断じた。 本判決は、特許請求の範囲が上位概念・多岐選択肢で記載された化学分野の発明について、明確性要件とサポート要件・実施可能要件との役割分担を改めて整理し、特定事項を分説した上で明細書記載と整合する合理的解釈が可能であれば明確性要件違反とすべきでない旨を明示した点で、実務的意義を有するものである。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。