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知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
平成30行ケ10130
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2019年4月12日
裁判官
高部眞規子杉浦正樹片瀬亮

AI概要

【事案の概要】 本件は、発明の名称を「トイレットロールの芯、及び、トイレットロール」とする特許出願(平成27年5月18日出願の分割出願)をした原告が、拒絶査定を受けたことから特許庁に対して不服審判を請求したところ、特許庁が「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をしたため、その取消しを求めた事案である。本願発明(請求項1)は、「巻回されるトイレットペーパーの引き出し向きを示す識別子が内側面に設けられている、トイレットロールの芯」というものであり、ホルダーに取り付ける際の巻回方向の判別を容易にすることをねらったものである。本件審決は、実用新案出願に係る引用例(芯の内側面に一定の方向を示す無数の印Mをつけたトイレットペーパー)に記載された引用発明に、トイレットペーパー表面に引き出し方向を示す印を設けるという周知技術(周知例1ないし3)、及びラップフィルム巻回体の紙芯内側面に巻き方向表示標識を設けるという甲7文献の技術事項を組み合わせることにより、当業者が容易に発明をすることができた(特許法29条2項)と判断した。 【争点】 争点は、本願発明の進歩性判断の当否であり、具体的には、(1)引用発明の認定の誤りの有無、(2)相違点に係る容易想到性判断の誤りの有無である。原告は、芯にペーパーを巻回する向きは時計回り・反時計回りの二通りあり、芯の「左右」が分かっても「上下」(引き出し向き)は定まらないから、引用例からは十分な技術的意義を認定できず、また、周知例は表面に識別子を設ける態様であって芯内側面の印の向きを変更する動機付けはないなどと主張した。 【判旨】 知財高裁は、原告の請求を棄却した。まず引用発明の認定について、トイレットロールは通常水平方向に延びるホルダー軸に筒状芯を挿入して取り付けられ、引用例の「左右」はこの取付けを前提とするものであり、「上下」とは最表部の最先端が使用者の手前に来た場合の引き出し向きの上下を指すと解した。その上で、「印M」は引き出し向きが実際に上下いずれになるかを客観的に確定させるものではないものの、「印M」との相関関係において引き出し向きの上下を確定できる限度で技術的思想が開示されていると認定し、本件審決の認定に誤りはないとした。次に容易想到性について、引用発明と周知技術はいずれもトイレットロールに関するもので技術分野が関連し、「ペーパーホルダーに挿入する際に簡単に上下の判別ができ得る」こと等を共通の課題とし、識別子により引き出し方向を認識させる点で作用・機能も共通するから、当業者は引用発明の「印M」を適宜設計変更するにあたり、周知技術を前提に相違点に係る構成を採用する動機付けがあると判断した。さらに、周知技術を表面に適用することと芯内側面の印を変更することは併存し得るものであり、引用発明がそのまま機能することをもって改良の動機が生じないとはいえないとして、原告の主張を排斥した。本判決は、進歩性判断における引用発明の技術的思想の認定にあたっては、当該文献の開示に照らし合理的に把握できる限度で足りることを示したものであり、生活用品分野の技術的に素朴な発明についても、関連する周知技術との組合せによる容易想到性が肯定され得る実務的意義を有する。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。