強制わいせつ致傷,公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(千葉県)違反,建造物侵入,傷害被告事件
判決データ
- 事件番号
- 平成30あ1333
- 事件名
- 強制わいせつ致傷,公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(千葉県)違反,建造物侵入,傷害被告事件
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 裁判年月日
- 2019年4月19日
- 裁判種別・結果
- 判決・棄却
- 裁判官
- 菅野博之、山本庸幸、三浦守
- 原審裁判所
- 東京高等裁判所
AI概要
【事案の概要】 本件は、被告人が強制わいせつ致傷、千葉県の公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反、建造物侵入、傷害の各罪で起訴された事件である。原審までに被告人は有罪判決を受け、これに対して弁護人が上告した。本件で特に問題となったのは、改正前の刑事訴訟法157条の3および157条の4が定める証人尋問に関する措置、すなわち付添い、遮へい、ビデオリンク方式による尋問の各制度の合憲性である。これらの規定は、証人の精神的負担を軽減し、また性犯罪被害者等の二次被害を防止することを目的として設けられた制度であり、被告人や傍聴人との間に遮へい板を置いたり、別室からビデオリンクで尋問したりすることを可能とするものである。弁護人は、これらの規定が憲法37条1項(公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利)、同条2項前段(証人審問権)、憲法82条1項(裁判の公開原則)に違反すると主張して上告した。 【争点】 改正前刑訴法157条の3(付添い)および157条の4(遮へい措置・ビデオリンク方式による証人尋問)の各規定が、被告人の公開裁判を受ける権利、証人審問権、裁判公開の原則を定めた憲法37条1項、2項前段、82条1項に違反するか否かが争点となった。性犯罪被害者保護の要請と被告人の防御権保障との調和をどのように図るかという、刑事手続における重要な論点である。 【判旨(量刑)】 最高裁判所第二小法廷は、本件上告を棄却した。憲法違反の主張については、改正前刑訴法157条の3、157条の4の各規定が憲法37条1項、2項前段、82条1項に違反しないことは、昭和25年3月15日大法廷判決(刑集4巻3号355頁、371頁)、昭和30年4月6日大法廷判決(刑集9巻4号663頁)、昭和31年12月26日大法廷判決(刑集10巻12号1746頁)、昭和33年2月17日大法廷決定(刑集12巻2号253頁)の趣旨、および平成17年4月14日第一小法廷判決(刑集59巻3号259頁)に徴して明らかであるとして、憲法違反の主張を排斥した。その余の上告趣意は、違憲をいう点を含め、実質は単なる法令違反、事実誤認、量刑不当の主張であって、刑訴法405条の上告理由に当たらないとした。また、当審における未決勾留日数中130日を本刑に算入することとした。本判決は、平成17年判例を踏襲し、証人保護のための各措置が合憲である旨を改めて確認したものであり、性犯罪事案における被害者証人の負担軽減措置の運用に対し、最高裁として再度お墨付きを与えた実務上重要な意義を有する判断である。裁判官全員一致の意見によるものである。