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知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
平成30行ケ10169
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2019年4月22日
裁判官
鶴岡稔彦高橋彩間明宏充

AI概要

【事案の概要】 本件は、意匠登録第1593189号(意匠に係る物品「トレーニング機器」、出願日平成29年1月30日、登録日平成29年11月24日)の意匠権者である被告に対し、原告が意匠登録無効審判を請求したところ、特許庁が「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をしたため、原告が審決の取消しを求めて知的財産高等裁判所に提訴した事案である。原告は、本件登録意匠が、その出願前に頒布された刊行物である登録第1536247号意匠公報(出願日平成27年2月19日、発行日同年10月26日、意匠に係る物品「トレーニング機器」)に記載された甲2意匠に類似し、意匠法3条1項3号に該当するとして無効を主張した。両意匠は、いずれも薄いシート状で、腹部に接触させ背面電極から電流を流すことで筋肉を刺激する電気的筋肉刺激機器(EMS機器)に係るものであり、正面中央の強弱調整ボタンを中心に、左右対称に合計6枚のパッド(上パッド、中央パッド、下パッド各2枚)を配する基本構成を共通にしていた。 【争点】 本件の争点は、本件登録意匠と甲2意匠が類似するか否かであり、より具体的には、両意匠の基本的構成態様と具体的構成態様の認定、共通点・相違点の把握、要部の抽出、及び需要者に与える美感の同一性の評価である。原告は、6枚のパッドが略横長矩形状に配置され深い切り欠きにより独立している点こそが公知意匠にない新規かつ独創的な特徴部分であって需要者の注意を強く引く要部であり、パッド個別の形状差や切り欠き部の「U」字状か「V」字状かといった差異は表層的・微細にとどまり共通点の美感に埋没すると主張した。これに対し被告は、各パッドの個別形状や表面の模様・帯状部こそが骨格的要素であり、別紙第5〜第7意匠等の公知意匠を参酌すれば共通点の独創性は減殺され、むしろ相違点こそが需要者の注意を引く要部であると反論した。 【判旨】 知財高裁第3部は、原告の請求を棄却した。裁判所はまず、本件登録意匠及び甲2意匠の各パッドの形状・配置、表面の筋状模様、略「M」字状又は略「W」字状の帯状部、甲2意匠の外周を縁取る線模様と隅丸略5角形状の線溝等は、いずれも意匠の形態を大づかみにしたときに認識できる骨格的態様であり基本的構成態様に属するとして、これらを具体的構成態様にとどめるべきとする原告の主張は基本的構成態様を過度に抽象化するものであると排斥した。そのうえで、需要者が当該物品を腹部に装着して使用する性質上、主に表面を正面ないし斜め上方向から観察するとの観察方法を前提に、共通点(A)のうち6枚のパッドが左右対称に配された構成は需要者の注意を強く引く要素と認めつつ、その他の共通点は公知商品にも広く見られるなどとして影響は小さいと評価した。他方、本件登録意匠は中央パッドの上下に略弓状に膨出した上下パッド、略「U」字状の切り欠き等により流線的かつ柔らかでゆったりとした印象を与えるのに対し、甲2意匠は各パッドの各辺が概ね直線状で変化に富み、いきいきとした躍動感や力強さといったEMS機器の使用目的に沿う印象を与えるとし、これら相違点が需要者に与える印象の違いは共通点がもたらす印象をはるかに凌駕すると判断した。審決には両意匠の形態及び共通点・相違点の認定に一部誤り(相違点(h)(j)で本件登録意匠と甲2意匠の形態を取り違えた点等)があるものの、非類似との結論に誤りはないとして、審決取消請求を棄却した。本判決は、意匠の類否判断における基本的構成態様と具体的構成態様の切り分け、物品の使用態様に即した観察方法の設定、及び公知意匠参酌による要部認定の手法を示した実務上の先例として意義を持つ。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。