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最高裁

未払賃金等,地位確認等請求事件

判決データ

事件番号
平成29受1889
事件名
未払賃金等,地位確認等請求事件
裁判所
最高裁判所第一小法廷
裁判年月日
2019年4月25日
裁判種別・結果
判決・その他
裁判官
山口厚池上政幸小池裕木澤克之深山卓也
原審裁判所
大阪高等裁判所

AI概要

【事案の概要】 本件は,貨物自動車運送業を営む被上告人に雇用され,生コンクリート運送の運転手として勤務していた上告人が,被上告人に対し,労働協約により減額して支払うものとされていた賃金(平成25年8月から同26年11月までの支給分)の未払分および遅延損害金の支払を求めた事案である。上告人が所属する全日本建設交運一般労働組合関西支部(建交労組)と被上告人は,被上告人の経営状態悪化を背景に,家族手当等を除く賃金総額の20%をカットする内容の労働協約を締結した(平成25年8月28日の第1協約,同26年9月3日の第2協約,同27年8月10日の第3協約)。被上告人はこれに基づき上告人の月例賃金・賞与から合計221万2720円を減額して支給した。その後,被上告人の生コンクリート運送部門は平成28年12月31日に閉鎖され,被上告人と建交労組はカット対象賃金債権を放棄する旨合意した(本件合意)。原審(大阪高裁)は,各協約により賃金支払が順次猶予され,本件合意により債権は消滅したとして請求を棄却したため,上告人が上告受理申立てをした。 【争点】 第1に,労働協約締結前に具体的に発生していた賃金請求権について,事後に締結された労働協約の遡及適用により支払猶予等の処分・変更が可能か。第2に,組合と使用者との間でされた賃金債権放棄の合意が,組合員個人に帰属する具体的に発生した賃金債権にも及ぶか。第3に,各協約による支払猶予が継続していた賃金について,いつの時点で弁済期が到来したといえるか。 【判旨】 最高裁は,原判決中,本件各未払賃金および遅延損害金請求に関する部分を破棄した。まず本件合意については,被上告人と建交労組との間でされたものにすぎず,その効果が組合員たる上告人に帰属することを基礎付ける事情(例えば建交労組が上告人を代理して債権放棄する旨の合意をした等)の主張立証はなく,上告人の賃金債権が放棄されたということはできないとした。次に,具体的に発生した賃金請求権を事後に締結された労働協約の遡及適用により処分・変更することは許されない(最判平成元年9月7日,最判平成8年3月26日参照)との先例を踏まえ,第1・第2協約締結日以前に具体的に発生していた賃金請求権については,上告人による特別の授権がない限り,協約によって支払を猶予することはできないと判示した。そして,協約により支払が猶予された賃金についても,第3協約の最終対象月(平成28年7月)末日経過後,協議が通常必要な期間を超えて行われないか合理的期間内に合意に至らないときに弁済期が到来するところ,平成28年12月31日の部門閉鎖により賃金支払猶予の理由は失われたから,遅くとも同日には弁済期が到来していたことが明らかであるとした。以上により,元本221万2720円の請求は認容すべきものとし,遅延損害金の起算日についてはさらに審理を尽くさせるため原審に差し戻した。本判決は,労働協約の規範的効力と組合員個人の既発生賃金債権との関係について,協約による既発生債権の不利益変更には個別の授権が必要であり,組合と使用者の合意では組合員の債権を放棄できないことを明確にした実務上重要な判断である。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。