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知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
平成30行ケ10094
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2019年4月25日
裁判官
森義之佐野信熊谷大輔

AI概要

【事案の概要】 本件は、発明の名称を「流体で満たされた管内の狭窄部の特徴を描写するシステムおよびその動作方法」とする特許出願(優先権主張平成23年1月6日英国、平成24年1月6日出願)について、拒絶査定を受けた原告(メドソルブ・リミテッド)が不服審判を請求したところ、特許庁が「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をしたため、原告が被告(特許庁長官)に対し、同審決の取消しを求めた事案である。本願発明は、冠動脈等の狭窄病変の重症度評価に用いる血流予備量比(FFR:fractional flow reserve)の測定方法に関わる医療用システムに関するもので、請求項1は、「最大充血条件なしで」管に沿った様々な位置で「即時圧力測定」を行う第1の測定センサを有する消息子、当該消息子を牽引する電動機構、位置測定器、及び即時圧力測定から位置ごとの圧力の比を計算するプロセッサを含むシステムを規定していた。本件審決は、第一に、請求項の「最大充血条件なしで」「即時圧力測定を行う」との記載は技術的事項が明確に特定されておらず明確性要件(特許法36条6項2号)を欠くと判断し、第二に、米国特許出願公開の引用発明との関係で進歩性(同29条2項)を否定した。これに対し原告は、「最大充血」とは薬剤により血管を最大限拡張した状態であり当業者に周知であること、「即時圧力測定」とは心周期未満の瞬間的な圧力測定を意味し、引用発明とは測定原理が異なると反論した。 【争点】 争点は、(1)請求項1の記載の明確性要件該当性(取消事由1)と、(2)引用発明に基づく進歩性判断の当否(取消事由2)である。具体的には、「最大充血条件なしで」「即時圧力測定を行う」との文言の技術的意義を特定できるか、並びに、1本のセンサで心周期未満に瞬間的な圧力を測定し各位置の比を計算する構成が、Pd・Pp両血圧の平均値に基づいてFFRを算出する引用発明から容易想到といえるかが問われた。 【判旨】 知財高裁第2部は、審決を取り消した。まず明確性について、甲5ないし甲7文献等に照らせばFFRは薬剤投与により冠細小動脈を最大拡張させた状態における遠位血圧Pdの平均値と近位血圧Paの平均値との比として算出するのが技術常識であると認定した上で、本願発明の技術的意義は、薬剤投与による最大充血条件を用いず、1つのセンサを血管内で移動させながら任意の位置の血圧を平均値ではなく瞬間値として測定し、その比を計算する点にあると認定し、「最大充血条件なしで」は薬剤投与による血流最大増加状態ではないこと、「即時圧力測定」は1心周期以上継続せず瞬間の数値を測定すること(本件測定)を指し、いずれも一義的に明確であると判断した。圧力測定のタイミングが心周期の位相ごとに異なることから測定比の意味が不明になるとの被告主張は、実施可能要件やサポート要件の問題にはなり得ても審判で審理されていない以上本訴訟で判断できないとして排斥した。次に進歩性について、引用発明はPdとPpの平均値の比を計算する構成であり、引用文献3にPdとPpの最大値または最小値(収縮期・拡張期血圧)を採用する示唆があるとしても、これらを特定するには1心周期以上継続した血圧測定が必要となるから「瞬間的な測定」には当たらず、1つのセンサで各位置の瞬間の血圧を測定しその比を計算する構成を引用文献3から容易に想到できる事情は認められないとして相違点1の容易想到性を否定した。以上により取消事由1及び2はいずれも理由があり、審決は取り消された。本判決は、医療機器分野における特許請求の範囲の明確性判断において、技術常識を踏まえて特許請求の範囲と明細書の記載を合理的に解釈すべきこと、及び進歩性判断における相違点の認定に当たっては引用文献の技術思想を測定手法の本質に遡って精査する必要があることを示すものとして実務的意義を有する。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。