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知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
平成30行ケ10082
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2019年4月25日
裁判官
大鷹一郎古河謙一関根澄子

AI概要

【事案の概要】 原告(スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー)は、「車両のドアフレームに細長いストリップを貼付する方法」とする発明について、2011年8月26日(優先日2010年9月3日、優先権主張国欧州特許庁)を国際出願日とする特許出願を行った。当該発明は、駆動手段、ピンローラ、応力制御ユニット、制御ユニットを備える装置を用い、ウェザーストリップを車両本体のドアフレームに貼付する方法に関するもので、フォーム層の組成(アルキル基中に平均3~14個の炭素原子を有するアルキルアクリレートのアクリルポリマー、密度540kg/m³以上)や感圧性接着剤に架橋ゴムを含むといった材料面の特徴を有するものであった。 原告は平成26年8月の手続補正を経たが拒絶査定を受け、拒絶査定不服審判を請求した。しかし特許庁は平成30年1月30日、本件発明は特表2010-504263号公報(引用文献1)記載の発明および特表2010-512428号公報(引用文献2)記載の技術的事項に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項により特許を受けることができないとして、審判請求は成り立たないとの審決を下した。原告はこれを不服として本件審決の取消しを求めた。 【争点】 争点は、本願発明の進歩性判断の当否、具体的には、(1)本願発明が解決しようとする課題(車両本体のドアフレーム湾曲部における接着テープ剥離という課題)の新規性を本件審決が看過したか否か、(2)引用発明(貼付時の応力制御を特徴とするウェザーストリップ貼付方法)に引用文献2記載の技術的事項(自動車塗料への接着性に優れる両面感圧性接着テープ)を適用する動機付けが存在するか否か、である。原告は、引用文献1はあくまで貼付前の応力調整による剥離防止を課題解決手段とするもので材料選択による解決を示唆しておらず、引用文献2も自動車関連分野の文献ではなくウェザーストリップ適用への示唆がないと主張した。 【判旨】 知財高裁第4部(大鷹一郎裁判長)は、原告の請求を棄却した。 まず課題の看過の主張について、引用文献1の【0013】には「車体のドア開口部に沿って設けられたウェザーストリップの隅部」において細長いストリップの基部からの緩みが生じ得るとの課題が開示されており、加えて自動車の車体のドア開口部の隅部が湾曲領域を有すること、湾曲部に貼付したテープが平坦面に比して剥離しやすいことは技術常識であるから、原告主張の「ドアフレームの隅部における剥離」という課題は引用文献1から自明な課題と認定した。 次に動機付けについて、引用文献2には感圧性接着剤が低表面エネルギー基材への接着に有用であること、自動車塗料を含む塗面が低表面エネルギー表面であること、硬化接着テープの低表面エネルギー自動車塗料への接着をBACP試験(分離・連続引き剥がし接着力)で評価した記載(【0094】)があり、引用文献2技術の感圧性接着剤が自動車塗料で塗装された車体塗装面への貼り合わせに有用であることが示唆されているとした。さらにウェザーストリップ貼付対象たるドアフレーム開口部が自動車塗料塗装面であることは技術常識であるから、引用発明の「感圧接着剤層」として引用文献2技術を採用する動機付けがあると認めた。また引用文献2技術の第1スキン接着剤は実質的に「架橋ゴムを含む」ものと認定し、相違点に係る本願発明の構成への想到容易性を肯定した。 本判決は、化学・材料系特許における進歩性判断において、引用文献間の技術分野の近接性、技術常識による橋渡し、さらに課題の自明性を丁寧に積み重ねて動機付けを認定した事例であり、特許実務上、複数引用文献を組み合わせる拒絶理由・無効理由の構成方法の参考となる。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。