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下級裁

損害賠償請求事件

判決データ

事件番号
平成28ワ2327
事件名
損害賠償請求事件
裁判所
京都地方裁判所
裁判年月日
2019年5月16日

AI概要

【事案の概要】 本件は、被告が開設・運営する京都市認可保育所「せいしん幼児園」において、平成26年7月30日、4歳児クラスの園児Cがプール活動中に仰向けで水没した状態で発見され、呼吸停止に陥り、搬送先の病院で同年8月6日に低酸素脳症により死亡した事故に関する損害賠償請求事件である。本件プールは長辺5.8メートル、適応人数18名の組立式プールであったが、事故当時は4歳児30名が入水しており、監視・指導を担当したのは担任保育士2名(F・G)のみであった。Gは事故の直前、カメラを取りに2階保育室へ戻るなどして本件プールを離れており、残されたFが単独で30名を監視・指導する状態のまま、園児の1人がCの異変に気付くまで発見が遅れた。Cの父母及び姉である原告らは、使用者責任(民法715条)等に基づき、逸失利益・慰謝料等の支払を求めた。 【争点】 第一に、Cの死因である。原告は本件プールでの溺水に伴うARDS(急性呼吸促迫症候群)から低酸素脳症に至ったと主張したのに対し、被告は吐しゃ物誤嚥による窒息、あるいはウイルス性脳炎等の内因性疾患、さらには事故と無関係な血栓症・塞栓症の可能性を主張し、死因と事故の相当因果関係を否定した。第二に、保育士F・Gの監視義務違反の有無である。厚生労働省は平成26年6月20日付事務連絡により、プール活動では監視に専念する者と指導者を分けて配置し役割分担を明確にすべき旨を各自治体に周知していたが、本件保育園ではこの内容が保育士に伝わっておらず、役割分担の取り決めもなかった。第三に、災害給付金2800万円及び事故当時の園長が個人として支払った見舞金730万円の損害賠償への充当・弁済としての意味が問題となった。 【判旨】 裁判所は、Cが水没状態で発見された経緯、湿性ラ音の聴取、搬送時の低酸素血症、その後の脳浮腫の増悪といった臨床経過から、溺水によりARDSを発症し低酸素脳症に至ったものと認定し、吐しゃ物誤嚥説や内因性疾患説はいずれも証拠上裏付けを欠くとして退けた。その上で、幼児は静かに溺れ水中での異変が発見されにくいという幼児プール活動の特性と厚労省事務連絡の内容を踏まえ、被告には監視専従者と指導者を分離し役割分担を明確にする義務、リスクに関する事前教育を行う義務があり、F・Gにも同様の監視体制を整え園児の安全を確保すべき注意義務があったと判示した。適応人数18名のプールに30名を入水させながら役割分担を欠き、両名とも一時現場を離れるなどしていた本件では注意義務違反が明白であるとし、死亡との相当因果関係も認めた。損害額は逸失利益2459万余円、死亡慰謝料2200万円、葬儀費用150万円等を基礎とし、災害給付金2800万円及び園長からの見舞金730万円(損害賠償金への弁済の趣旨を含むと解した)を控除の上、原告父母に各856万余円、原告ら固有の慰謝料として各110万円の支払を命じた。本判決は、保育現場におけるプール事故防止について厚生労働省通知が定める監視専従者配置等を注意義務の内容として正面から認定し、保育士及び運営法人の法的責任を明確化した点で、保育所の安全管理実務に重要な指針を示す先例である。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。