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知財

独占的通常実施権に基づく損害賠償請求事件

判決データ

事件番号
平成30ワ10157
事件名
独占的通常実施権に基づく損害賠償請求事件
裁判所
東京地方裁判所
裁判年月日
2019年5月22日

AI概要

【事案の概要】 半導体製造装置メーカーである原告は、フラットパネルディスプレイ(FPD)用ガラス基板の外面機械研磨に関する特許(特許第3741708号)の独占的通常実施権者である。本件特許は、ガラス基板外面にフッ酸等の溶出液を噴射して化学作用と衝撃による物理作用を併用して薄型化研磨を行う方法・装置を対象とし、ガラス外面を衝撃する際の圧力を「0.5kg/cm²〜3.5kg/cm²の範囲」と規定する数値限定発明である。原告は、液晶ディスプレイ製造会社である被告JDIが自社工場でFPDを製造し、その基板薄型化工程を被告NSCに委託して枚葉式ケミカル研磨装置を用いた薄型化処理を行っていることが本件発明1・2・7・8の技術的範囲に属し、独占的通常実施権を侵害すると主張して、被告両社に対し連帯して損害賠償3億3000万円(一部請求)及び遅延損害金の支払を求めた。 【争点】 最大の争点は、被告の方法・装置が本件発明の技術的範囲に属するかであり、とりわけ構成要件1E及び7Hの「0.5kg/cm²〜3.5kg/cm²」という圧力数値限定の意義と、被告方法・装置による衝撃圧力がその範囲内にあるかであった。原告は、この「圧力」はノズル吐出圧力または液滴がガラスに衝突する局所的スポットの衝撃圧力と解すべきであり、感圧シート「プレスケール」を用いた実験により被告方法での衝撃圧力は約1kg/cm²であると主張した。これに対し被告らは、「kg/cm²」は単位面積当たりの平均圧力と解すべきで、本件ノズルは65〜70°の噴霧角で円錐状に広く噴霧するため基板到達時の単位面積当たり圧力は大幅に低下し、下限値0.5kg/cm²を大きく下回ると反論した。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、構成要件1E及び7Hの「kg/cm²」の単位について、通常はある程度の面積を有する面に作用する力を単位面積当たりに換算したものと解するのが自然であり、明細書【0034】におけるノズルと外面の距離に関する記載もこの解釈と整合すると判示した。その上で、本件ノズルと同種のスプレーノズルを製造するいけうち社等の業界では、1cm×1cmの受圧プレートを用いて単位面積当たりの圧力を測定することが出願当時の標準的測定方法であったと認定した。被告方法については、ノズル先端からガラス基板まで190mm離れ、65〜70°の噴霧角で円錐状に均等に広がって約4.6万〜5.6万mm²の領域に噴霧されるため、単位面積当たりの衝撃圧力は大幅に低減すると判断。原告のプレスケールを用いた実験は、マイクロカプセルが圧力により破壊される一回加圧を前提とする測定器であり、液体を継続噴射すると実際より高い値が検出される可能性があるとして信用性を否定した。他方、被告側が業界標準の測定方法で実施した実験結果は最大でも約0.0009kg/cm²で下限値を大幅に下回り、信用性が高いと認定し、被告方法・装置はいずれも構成要件1E・7Hを充足せず、従属項である発明2・8の技術的範囲にも属さないと結論づけた。本判決は、数値限定発明における単位の解釈について、明細書の記載のみならず当該技術分野における標準的測定方法を参酌して客観的に定めるべきことを示した事例として、実務上意義を有する。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。