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下級裁

在外日本人国民審査権確認等請求事件

判決データ

事件番号
平成30行ウ143
事件名
在外日本人国民審査権確認等請求事件
裁判所
東京地方裁判所
裁判年月日
2019年5月28日
裁判官
森英明小川弘持三貫納有子

AI概要

【事案の概要】 本件は、日本国外に住所を有する日本国民(在外国民)である第1事件原告ら4名と、過去に在外国民であった第2事件原告が、被告(国)に対し、最高裁判所裁判官国民審査における審査権を行使できなかったことを争った事案である。最高裁判所裁判官の国民審査は、憲法79条2項・3項が定める制度で、裁判官の任命後初めて行われる衆議院議員総選挙および10年経過後の総選挙の際に行われ、罷免可が過半数に達した裁判官は罷免される。これは最高裁判所に対する民主的統制を実現する重要な仕組みとされる。 原告らは在外選挙人名簿に登録されており、衆議院議員総選挙では在外投票ができたものの、平成29年10月22日執行の国民審査では投票用紙が交付されず、審査権を行使できなかった。そこで原告らは、第1事件で、(1)主位的に次回国民審査において審査権を行使できる地位の確認、予備的に審査権行使をさせないことが違法であることの確認を求めるとともに、(2)国家賠償法1条1項に基づき、各1万円の慰謝料を請求した。第2事件原告も国家賠償請求のみを行った。 在外選挙制度は平成10年の公職選挙法改正で導入され、平成17年大法廷判決が在外国民の国政選挙権を一部認めない旧制度を違憲と判断した後に対象選挙が拡大された。しかし国民審査法は、投票用紙に裁判官名を印刷しておく記号式投票を前提とするため、在外公館への送付期間を確保できないという「技術上の問題」を理由として、在外投票を認める制度(在外審査制度)の創設が見送られ続けてきた。 【争点】 争点は、(1)本件地位確認の訴えの適法性、(2)違法確認の訴えの適法性、(3)在外国民に対する国民審査権行使制限の合憲性・違法性、(4)国家賠償請求の成否、の4点である。 【判旨】 裁判所は、まず訴訟要件について、国民審査法4条は審査人の資格を定めたにとどまり、同法8条の「選挙人名簿」に在外選挙人名簿が含まれないことも公職選挙法の規定上明らかであるとして、現行法令の解釈では在外国民が審査権を行使できる具体的地位を導き出せず、新たな立法を待たずには法的地位が認められないと判断し、地位確認の訴えは裁判所法3条1項の「法律上の争訟」に当たらないとして却下した。違法確認の訴えも、実質的には国民審査法の違法性を抽象的に問うものであり同様に不適法であるとして却下した。 もっとも本案の判断として、裁判所は、国民審査権は憲法15条1項が保障する公務員の選定罷免権の一つであり、成年普通選挙の保障(15条3項)、選挙人資格における差別禁止(44条但書)、投票機会の平等(14条1項)の趣旨は国民審査にも及ぶと述べた。したがって、その行使制限にはやむを得ない事由、すなわち審査の公正を確保しつつ行使を認めることが事実上不能ないし著しく困難と認められる場合でなければ許されない。そのうえで、憲法79条4項は投票方法を法律に委ねており記号式投票が唯一の方法ではなく、点字投票では既に自書式投票が採用され、在外選挙制度でも自書式投票が実施されてきたことを踏まえれば、自書式投票の採用等により在外審査制度を実施することは可能であり、やむを得ない事由はないと結論づけた。よって前回国民審査当時の国民審査法は、在外国民の審査権行使を認めない点で憲法15条1項、79条2項・3項に違反していたと判断した。 国家賠償請求については、投票用紙不交付は法令に従った行為にすぎず違法性を欠くとしたうえで、立法不作為の違法性を認めた。すなわち、平成17年大法廷判決により技術上の問題の解決方法を見いだし得る状況が生じ、さらに平成23年東京地裁判決が憲法適合性に重大な疑義を示した時点で、在外審査制度を創設しないことの違憲性は明白となっていたにもかかわらず、その後約6年半にわたり正当な理由なく立法を怠ったと認められるから、国家賠償法1条1項の適用上違法であり過失もあると判示した。慰謝料は1人あたり5000円と認定し、原告各人に対し金5000円および遅延損害金の支払を命じ、その余の請求を棄却した。本判決は在外国民の国民審査権に関して違憲判断と国家賠償を認めた先例として注目された。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。