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下級裁

国家賠償請求事件

判決データ

事件番号
平成30ワ76
事件名
国家賠償請求事件
裁判所
仙台地方裁判所
裁判年月日
2019年5月28日
裁判種別・結果
棄却
裁判官
中島基至

AI概要

【事案の概要】 旧優生保護法(昭和23年法律第156号、平成8年法律第105号による改正前のもの)は、「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」ことを目的として制定され、平成8年に優生思想に基づく部分が母体保護法への改正により削除されるまで、約半世紀にわたって効力を有していた。同法に基づく不妊手術は、昭和24年から平成8年までの間に全国で約2万5000件実施され、そのうち本人同意なしに審査手続で行われた遺伝性疾患を理由とするものは1万4566件に及ぶ。 原告Aは、遺伝性精神薄弱と診断されて宮城県優生保護審査会の決定を受け、旧優生保護法4条に基づく本件優生手術を受けたことにより子を産むことができなくなった。原告Bもまた、本件優生手術を受けたことにより生殖機能を喪失し、術後の身体不調や、夫への告白を契機とする離婚・破綻など、人生全般にわたる深刻な不利益を被った。 原告らは、旧優生保護法の関係規定が子を産み育てるか否かを自ら決定する権利(リプロダクティブ権、憲法13条)および平等原則(憲法14条1項)に反し違憲無効であると主張し、国に対し国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めた。具体的には、主位的に、国会が被害救済のための立法措置を講じなかった立法不作為、および厚生労働大臣が被害回復施策を執らなかった施策不作為の違法を、予備的に、国家賠償法4条により適用される民法724条後段の除斥期間規定を本件に適用することが違憲であると主張し、厚生大臣による優生手術防止懈怠行為の違法を主張した。 【争点】 争点は、(1)本件立法不作為および本件施策不作為に基づく損害賠償請求権の成否、(2)厚生大臣による本件防止懈怠行為に基づく損害賠償請求権の成否、(3)民法724条後段の除斥期間規定の適用の可否、(4)損害額の4点である。 【判旨】 仙台地方裁判所は、まず旧優生保護法の本件規定について、不良な子孫の出生防止を理由に不妊手術を強制し、幸福の可能性を一方的に奪い個人の尊厳を踏みにじるものであって、憲法13条に違反し無効であると判示した。その上で、リプロダクティブ権は人格的生存の根源に関わる基本的権利であり、その侵害を受けた者が損害賠償請求権の行使機会を確保するための立法措置は必要不可欠であると認めた。 しかし、その具体的な賠償制度の構築は第一次的に国会の合理的立法裁量に委ねられるところ、我が国ではリプロダクティブ権をめぐる法的議論の蓄積が少なく、本件規定および本件立法不作為について憲法違反の問題が生ずるとの司法判断が今までされてこなかった事情の下では、少なくとも現時点において、その立法措置を執ることが必要不可欠であることが国会にとって明白であったとは言い難いとした。したがって、本件立法不作為および本件施策不作為は、いずれも国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けないと結論付けた。 予備的請求については、除斥期間規定は法律関係の速やかな確定という正当な立法目的を有し、その手段として20年という長期の期間を設けることには合理性および必要性が認められるから、本件におけるリプロダクティブ権侵害に基づく損害賠償請求権への適用が憲法17条に違反することはないとして、請求を排斥した。 結論として、原告らの請求はいずれも棄却された。もっとも、判決は末尾において、憲法13条および14条の普遍的価値に照らし、平成の時代まで根強く残っていた優生思想が正しく克服され、何人も差別なく幸福を追求できる社会となることを期して付言しており、旧優生保護法に基づく優生手術の違憲性を正面から認定した全国初の司法判断として、後の一時金支給法制定や同種訴訟の展開に重要な影響を与えた先例的意義を有する。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。