都道府県を選択して、裁判官を探すことができます

全国 2522 人の裁判官3141 件の口コミ
知財

特許権侵害差止等請求控訴事件

判決データ

事件番号
平成31ネ10006
事件名
特許権侵害差止等請求控訴事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2019年5月29日
裁判官
鶴岡稔彦上田卓哉山門優
原審裁判所
東京地方裁判所

AI概要

【事案の概要】 本件は、「敗血症及び敗血症様全身性感染の検出のための方法及び物質」を発明の名称とする特許(特許第5215250号、本件特許)の特許権者である控訴人(ドイツのベー・エル・アー・ハー・エム・エス社)が、被控訴人(ラジオメーター株式会社)に対し、本件特許権の間接侵害を理由に、被告装置および被告キットの製造・譲渡・輸入・貸渡し等の差止め、廃棄、ならびに損害賠償900万円の支払を求めた事案である。 敗血症は感染症が全身に波及する重篤な病態であり、早期検出が治療成果を左右する。従来、プロカルシトニン(甲状腺で合成されるカルシトニンの前駆体タンパク質)の血中濃度測定が敗血症診断に有用であることは知られていたが、敗血症時に血中に現れるプロカルシトニンの構造は必ずしも明らかではなかった。控訴人は、敗血症患者の血清中に高濃度で検出されるプロカルシトニンが、完全長のプロカルシトニン1-116ではなく、N末端のジペプチド(Ala-Pro)が欠けた114アミノ酸のプロカルシトニン3-116であることを発見し、これを踏まえ「患者の血清中でプロカルシトニン3-116を測定することを含む、敗血症及び敗血症様全身性感染を検出するための方法」との請求項1に係る発明について特許を取得した。 被告装置・キットは、プロカルシトニン3-116と1-116を区別することなく、両者を含みうるプロカルシトニン濃度を測定するものであった。原審東京地裁は、被告方法は本件発明の技術的範囲に属しないとして請求を棄却したため、控訴人が控訴した。 【争点】 中心的争点は、構成要件Aの「患者の血清中でプロカルシトニン3-116を測定すること」の意義、およびプロカルシトニンを一般的に測定する被告方法がこれを充足するか否かである。控訴人は、敗血症患者の血清中プロカルシトニンの大部分がプロカルシトニン3-116であるという知見からすれば、両者を区別せず測定しても敗血症検出に必要な精度で3-116を測定できるから、構成要件Aは区別測定を必須としないと主張した。 【判旨】 知財高裁第3部は、本件控訴を棄却した。判旨は、「患者の血清中でプロカルシトニン3-116を測定すること」とは、特許請求の範囲の文言および本件明細書の記載に照らし、患者の血清中のプロカルシトニン3-116の量を明らかにすることを意味すると解釈した。プロカルシトニン一般の濃度測定による敗血症検出は本件出願の優先日前から知られた従来技術であり、本件発明はこれに対する新規性を根拠に成立した発明であるから、プロカルシトニン3-116と1-116を区別せず測定する方法を本件発明の技術的範囲に含めることはできないと判示した。 また、敗血症患者の血清中プロカルシトニンの大部分が3-116であるとの知見があっても、そもそも敗血症か否かが未確定である診断対象患者について同じ前提は成り立たないから、区別せずに測定した値を3-116の測定値と同視することはできないとした。そのうえで、被告装置・キットは3-116と1-116を区別せず測定するものであり、被告方法の過程で3-116の量が明らかにされているとは認められないから、構成要件Aを充足せず、間接侵害は成立しないと結論づけた。本判決は、バイオマーカー検出方法の特許における「測定」概念について、対象物質の量的把握を明示的に要求するものとして、医薬・診断分野の特許クレーム解釈の実務に重要な指針を与える事例である。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。