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知財

特許権侵害差止請求事件

判決データ

事件番号
平成29ワ44053
事件名
特許権侵害差止請求事件
裁判所
東京地方裁判所
裁判年月日
2019年5月29日

AI概要

【事案の概要】 本件は、抗がん剤「リツキシマブ」(商品名リツキサン)に関する米国バイオジェン社の特許権(特許第6226216号・第6241794号・第6253842号の3件)について専用実施権の設定を受けた原告が、被告サンド及び被告協和発酵キリンに対し、両社が共同販売するバイオシミラー(バイオ後続品)製剤の製造販売等の差止めと損害賠償1億円の支払を求めた事案である。リツキシマブはCD20抗原を標的にB細胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)を治療するモノクローナル抗体医薬で、シクロホスファミド等を組み合わせる化学療法(CHOP療法・CVP療法)と併用することで高い治療効果を発揮する。本件各特許は、リツキシマブを含む医薬組成物を特定の化学療法と併用する用途に限定した「用途発明」であり、本件発明1及び3はCHOP療法の「最中」に投与されること、本件発明2はCVP療法との併用などを構成要件としていた。被告製剤は先行バイオ医薬品と同じリツキシマブを有効成分とし、添付文書上R-CHOP・R-CVPレジメンでの使用が想定されており、原告は技術的範囲に属すると主張したが、被告らは技術的範囲の属否を否認するとともに、公知文献による進歩性欠如やサポート要件違反を理由とする特許無効の抗弁を主張した。 【争点】 主要な争点は、(1)被告製剤が本件発明1・3の「(CHOP)による化学療法の最中に投与される」との構成要件を充足するか、(2)被告製剤が本件発明2の「CVP」との構成要件を充足するか、(3)本件各特許がサポート要件(特許法36条6項1号)違反で無効とされるべきかである。特許請求の範囲で用いられた「最中」及び「CVP」という文言をどう解釈し、明細書の記載がそれを裏付けるに足りるかが核心である。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、本件特許1の出願経過において、出願人が拒絶理由を回避するため「同時」から「最中」に補正し、意見書で甲38文献(Czuczmanらの臨床試験)と異なる発明であると主張した経緯を重視し、構成要件1Bの「(CHOP)による化学療法の最中」は、CHOP療法の各サイクルにおける各薬剤の投薬期間中を指し、休薬期間中の投与は除外されると解釈した。そのうえで、本件明細書1・3の【0015】【0017】等には、化学療法薬の投薬期間中にリツキシマブを投与するという用途を当業者が認識できる記載・示唆は存在せず、【0069】以下に挙げられた実施例も休薬期間中の投与にとどまると認定し、本件特許1及び3はサポート要件(36条6項1号)に違反し無効審判により無効とされるべきものと判断した(特許法104条の3第1項により権利行使不可)。本件発明2についても、原出願日当時の技術常識として、CVP療法はシクロホスファミドを1日目から5日目まで投与するものであり、1日目のみ投与するCOP療法とは区別されていたと認定。被告製剤の添付文書に記載されたR-CVPレジメンはシクロホスファミドを1日目のみ投与するものであるから、構成要件2Bの「CVP」を充足しないとして、本件発明2についても侵害を否定した。結論として、その余の争点について判断するまでもなく原告の請求はいずれも理由がないとして全部棄却された。医薬品の用途発明における「出願経過の参酌」とサポート要件の厳格な運用により、バイオシミラー製品の参入を阻害する「エバーグリーニング特許」への牽制として実務上重要な先例となる判断である。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。