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下級裁

殺人被告事件

判決データ

事件番号
平成30わ1046
事件名
殺人被告事件
裁判所
横浜地方裁判所
裁判年月日
2019年5月31日
裁判官
田村政喜野村充治部宏樹

AI概要

【事案の概要】 平成29年12月12日深夜、相模原市内の歩道上で、60歳の被害者が何者かに刃物で左胸部・右上腹部・右大腿部を突き刺され、多発刺創による出血性ショックで死亡した殺人事件である。被告人は被害者を殺害したとして殺人罪で起訴された。犯人が被害者を殺害した事実自体に争いはなく、もっぱら被告人が犯人か否かが問題となった、いわゆる犯人性が唯一の争点となる事案である。検察官は、①本件現場に被告人の眼鏡とたばこの箱が遺留されていたこと、②被告人が居住するアパートの駐輪場に、被害者の血液が付着した自転車(同アパート住人A1所有、無施錠)が戻されていたこと、③被告人が本件当夜に外出し帰宅後すぐに衣服を捨てたこと、④被告人の年齢・体格等が目撃者の述べる犯人像と矛盾しないこと、の4点を犯人性の根拠として主張し、懲役18年を求刑した。 【争点】 被告人が本件殺人の犯人であるか(犯人性の立証の有無)。間接証拠のみによる立証の事案であり、各間接事実が被告人を犯人と推認させる力の程度と、それらを総合した場合に合理的疑いを超える立証に至っているかが問われた。 【判旨(量刑)】 横浜地裁は、被告人を無罪とした。各間接事実について、①被告人が常用していた眼鏡とたばこの箱が犯行現場に遺留されていた事実は、被告人を犯人と推認させる力が「それなりに高い」とはいえるが、本件現場は被告人の生活圏内にあり、遺留時間帯にも相当な幅があることから、酒に酔って転倒して落とした等、犯行以外の遺留原因も十分想起でき、推認力は限定的と評価した。②自転車に付着した被害者の血液については、犯人がアパート住人ないし近隣住民である可能性は高いとしつつ、同居人A1が犯人である可能性を排斥できないこと、被告人は犯行の約2週間前に転居したばかりでA1の自転車使用時間を把握していたと断定できないこと、被告人は愛着のある自分の自転車を所有していたこと等から、被告人が当夜に本件自転車を使用した可能性が特に高いとはいえず、推認力は低いと判断した。③衣服廃棄の点は、妻の証言からは本件当夜の出来事と特定できず、そもそも事実として認定できないうえ、犯行態様から返り血を浴びた可能性が高いのに被告人の身体や衣服に血痕がなかったことは、むしろ被告人が犯人であることと整合しない事情だと指摘した。④年齢・体格の一致はごくありふれた特徴にすぎず、推認力は低いとした。そのうえで総合評価をしても、被告人が犯人でないとしたならば合理的に説明することが極めて困難とまではいえず、合理的な疑いを差し挟む余地がない程度の立証があったとはいえないと結論した。刑事訴訟法336条により無罪を言い渡した本判決は、間接事実型事件における最高裁判例(最決平成22年4月27日等)の示す「被告人が犯人でないとしたならば合理的に説明することができない事実関係」の要請を厳格に適用し、捜査側が特定した防犯カメラ上の走行経路認定にも信用性の限界を指摘するなど、証拠評価の慎重さが際立つ判断である。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。