不正競争行為差止等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 原告(日本精工硝子株式会社)は,明治28年創業のガラス瓶メーカーであり,化粧品用瓶で培ったノウハウを活かし,平成11年ころから食品・調味料用のガラス瓶(以下「食調瓶」という。)であるSSシリーズを順次製造・販売してきた。原告商品15点(SSF,SSE,SSS,SSI,SSG各シリーズ)は,縦長で肩部が張ったシャープなデザインを特徴とする高級志向の瓶であり,他社商品の1.5倍ないし3倍の価格で販売されていた。これに対し被告(日本耐酸壜工業株式会社)は,平成26年ころから原告商品と形態の類似する被告商品15点の製造を開始し,平成27年ころから食品メーカーや商社等に対して原告商品より廉価で販売した。原告は,被告の行為が不正競争防止法2条1項1号(周知商品等表示混同惹起行為)の不正競争行為に該当するとして,主位的に同法3条,4条に基づく製造・販売の差止め,廃棄,並びに3300万円の損害賠償及び遅延損害金を求め,予備的に民法709条の一般不法行為に基づく同額の損害賠償等を求めた。 【争点】 1. 被告の行為が不正競争防止法2条1項1号に該当するか(原告商品形態の特別顕著性,周知性,類似性,混同のおそれ)。 2. 予備的に,被告の行為が一般不法行為に該当するか。 【判旨】 請求棄却。 まず特別顕著性について,他のガラス瓶メーカーの食調瓶にも,多角形柱型で縦長・肩部が張った贈答用の高級感ある製品が存在し,原告商品の筒部分の形状や縦長シャープな外観が他社製品と明確に区別されるとまではいえず,加えて原告が複数のガラス瓶メーカーに原告商品と同型品の製造・販売を許諾しており自ら顕著性を希釈しているから,商品等表示としての特別顕著性には疑問が残ると判示した。 次に周知性について,平成17年以降の累計売上高約15億円,累計売上本数約4000万本にとどまり,市場全体のシェアとしても平成29年の食調瓶全体出荷本数の0.226%に過ぎず,宣伝方法も他のSSシリーズと区別して原告商品のみをシリーズとして強調した事実は認められないとして,原告商品形態が需要者である食品メーカー等に周知であると認めるに足りる立証はないとした。 さらに混同のおそれについて,被告は原告商品の代替品を需要者の求めに応じ開発・販売したもので,取引の相手が被告であることは明白であり,事業者間の取引である以上,商社等や食品メーカー等が被告商品を原告商品と誤認するとは考えにくいと判断した。以上から,不正競争防止法2条1項1号の不正競争行為は成立しないとした。 予備的主張の一般不法行為についても,被告が原告商品を単純に模倣したものではなく独自の商品開発のための資金・労力を投下していること,被告商品のサンプル生産や発売時期が長期間に分散しておりシリーズとして一括模倣したとは認められないこと,安価・軽量等の条件での営業提案が著しく不公正な行為とはいえないことから,自由競争の範囲を逸脱する不公正な行為には当たらないと判断し,原告の請求をいずれも棄却した。