著作権侵害差止等請求事件,損害賠償請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 人気漫画「グラップラー刃牙」の著作者・原告(板垣恵介)と、同作品のテレビアニメ版の著作権者である被告(FWD株式会社)との間の紛争である。本件アニメは、原告の許諾のもと、秋田書店(原告の窓口業務受託者)とフリーウィル(被告の前身会社)との間で平成12年に締結された本件アニメ化契約に基づき、平成13年に全48話が制作・放送された。同契約の有効期間は最終話放送日から5年間と定められており、遅くとも平成18年末日には終了している。 その後、原告・第2事件被告(原告の著作権管理会社)・秋田書店・被告・フリーウィルの間で本件漫画の二次的利用に関する窓口業務を定める四者契約が締結されたが、第2事件被告が平成26年に更新拒絶の意思表示を行い、同契約は平成27年2月末に終了した。被告は、それ以降も中央映画貿易との本件送信許諾契約に基づくアニメ配信、本件DVDの販売、スパイダーウェブスとのライセンスを通じたキャラクター商品の製造販売、被告ウェブサイトでの漫画・アニメ画像の掲載等を継続していた。 第1事件は、原告が被告に対し、これらの行為が本件漫画の翻案権・譲渡権・送信可能化権および本件アニメの原著作者の権利(複製権・頒布権・送信可能化権)を侵害するとして差止めを求めるとともに、フリーウィル名義で登録されていた本件商標(グラップラー刃牙/GRAPPLER BAKI)の移転登録手続を求めた事案である。第2事件は、被告が原告・第2事件被告に対し、配信停止通知、ガンホー提案の許諾拒絶、四者契約の更新拒絶がそれぞれ共同不法行為または債務不履行に該当するとして、3200万円の損害賠償を求めた事案である。 【争点】 中核的争点は、本件アニメ化契約により本件アニメの原著作者の権利が原告からフリーウィルに譲渡されたか否かである。被告は、契約4条(3)・(4)で独占的利用権・素材の所有権がフリーウィルに帰属すると定められ、約6億円の制作投資を行った事実等から原著作者の権利の譲渡を主張した。これに対し原告は、契約3条(1)の権利留保条項、有効期間の定め、印税方式の対価設定等から、本件契約は本件漫画の翻案と二次的著作物の利用に関する許諾契約にすぎないと反論した。その他、送信可能化権の期間の定めのない許諾の成否、中央映画貿易への配信許諾への黙示の承諾の有無、本件商標の移転登録義務の存否なども争われた。 【判旨】 東京地裁は、原告の請求を大部分認容し、被告の請求を全て棄却した。まず、原著作者の権利の譲渡について、契約書には譲渡の明文規定がなく対価条項も存在しないこと、被告自身が平成21年から平成27年まで「著作権料」名目で原告にロイヤリティを支払い続けていたこと、平成24年フィールズ契約では被告が「アニメーション作品の原著作権が板垣恵介に帰属する」と明記していたことから、原著作者の権利は原告に留保されていたと認定した。中央映画貿易への配信については、原告が長期間にわたり配信料の支払を受領していた事実から黙示の許諾が認められ、令和2年10月31日までの差止めは認められないとした。本件商標については、本件アニメ化契約3条(3)に基づき、契約終了により無償移転義務が発生するとして、移転登録手続を命じた。第2事件の不法行為・債務不履行主張については、原告側には配信契約の内容を認識していなかったこと、四者契約上、許諾の最終判断権は著作権者側にあり投下資本回収の保護条項もないこと等から、いずれも否定された。漫画・アニメの著作権と二次的利用契約をめぐる実務上重要な先例である。 '; UPDATE case_laws SET aiSummary = ' 【事案の概要】 人気漫画「グラップラー刃牙」の著作者・原告(板垣恵介)と、同作品のテレビアニメ版の著作権者である被告(FWD株式会社)との間の紛争である。本件アニメは、原告の許諾のもと、秋田書店(原告の窓口業務受託者)とフリーウィル(被告の前身会社)との間で平成12年に締結された本件アニメ化契約に基づき、平成13年に全48話が制作・放送された。同契約の有効期間は最終話放送日から5年間と定められており、遅くとも平成18年末日には終了している。 その後、原告・第2事件被告(原告の著作権管理会社)・秋田書店・被告・フリーウィルの間で本件漫画の二次的利用に関する窓口業務を定める四者契約が締結されたが、第2事件被告が平成26年に更新拒絶の意思表示を行い、同契約は平成27年2月末に終了した。被告は、それ以降も中央映画貿易との本件送信許諾契約に基づくアニメ配信、本件DVDの販売、スパイダーウェブスとのライセンスを通じたキャラクター商品の製造販売、被告ウェブサイトでの漫画・アニメ画像の掲載等を継続していた。 第1事件は、原告が被告に対し、これらの行為が本件漫画の翻案権・譲渡権・送信可能化権および本件アニメの原著作者の権利(複製権・頒布権・送信可能化権)を侵害するとして差止めを求めるとともに、フリーウィル名義で登録されていた本件商標(グラップラー刃牙/GRAPPLER BAKI)の移転登録手続を求めた事案である。第2事件は、被告が原告・第2事件被告に対し、配信停止通知、ガンホー提案の許諾拒絶、四者契約の更新拒絶がそれぞれ共同不法行為または債務不履行に該当するとして、3200万円の損害賠償を求めた事案である。 【争点】 中核的争点は、本件アニメ化契約により本件アニメの原著作者の権利が原告からフリーウィルに譲渡されたか否かである。被告は、契約4条(3)・(4)で独占的利用権・素材の所有権がフリーウィルに帰属すると定められ、約6億円の制作投資を行った事実等から原著作者の権利の譲渡を主張した。これに対し原告は、契約3条(1)の権利留保条項、有効期間の定め、印税方式の対価設定等から、本件契約は本件漫画の翻案と二次的著作物の利用に関する許諾契約にすぎないと反論した。その他、送信可能化権の期間の定めのない許諾の成否、中央映画貿易への配信許諾への黙示の承諾の有無、本件商標の移転登録義務の存否なども争われた。 【判旨】 東京地裁は、原告の請求を大部分認容し、被告の請求を全て棄却した。まず、原著作者の権利の譲渡について、契約書には譲渡の明文規定がなく対価条項も存在しないこと、被告自身が平成21年から平成27年まで「著作権料」名目で原告にロイヤリティを支払い続けていたこと、平成24年フィールズ契約では被告が「アニメーション作品の原著作権が板垣恵介に帰属する」と明記していたことから、原著作者の権利は原告に留保されていたと認定した。中央映画貿易への配信については、原告が長期間にわたり配信料の支払を受領していた事実から黙示の許諾が認められ、令和2年10月31日までの差止めは認められないとした。本件商標については、本件アニメ化契約3条(3)に基づき、契約終了により無償移転義務が発生するとして、移転登録手続を命じた。第2事件の不法行為・債務不履行主張については、原告側には配信契約の内容を認識していなかったこと、四者契約上、許諾の最終判断権は著作権者側にあり投下資本回収の保護条項もないこと等から、いずれも否定された。漫画・アニメの著作権と二次的利用契約をめぐる実務上重要な先例である。