都道府県を選択して、裁判官を探すことができます

全国 2522 人の裁判官3283 件の口コミ
知財

特許権侵害差止等請求事件

判決データ

事件番号
平成29ワ9201
事件名
特許権侵害差止等請求事件
裁判所
大阪地方裁判所
裁判年月日
2019年6月20日

AI概要

【事案の概要】 本件は、「シリコーン・ベースの界面活性剤を含むアルコール含有量の高い発泡性組成物」という名称の発明に係る特許権(特許第5891575号)を保有する外国法人である原告(デブ アイピー リミテッド)が、被告サラヤ株式会社が製造し、被告サラヤ及び被告東京サラヤ株式会社が販売する速乾性手指消毒剤(被告製品1及び2)について、当該製品が本件特許の請求項1、5、6に係る発明の技術的範囲に属するとして、被告らに対し、特許法100条に基づく製造販売の差止め及び廃棄、並びに特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償(合計約2196万円及び遅延損害金)を求めた事案である。本件特許は、アルコール含有量が高い消毒液を手動ポンプ式の無加圧ディスペンサーから安定した泡として分配できる組成物に関するもので、従来のジェル状消毒剤に比べ、増粘剤が不要で洗い流しが不要、ポンプが詰まりにくいといった実務上の利点を有する点に技術的意義がある。被告サラヤは本件特許の無効審判を請求したが不成立の審決が確定しており、本件訴訟では改めて特許の有効性及び被告製品の技術的範囲への属否が争われた。 【争点】 争点は、(1)被告各製品が本件各発明の技術的範囲に属するか(構成要件1A及び1C等の充足の有無)、(2)本件特許に明確性要件違反、実施可能要件違反、サポート要件違反、進歩性欠如等の無効理由があるか、(3)特許法102条3項に基づく実施料相当額(実施料率)をいかに算定すべきかの3点である。被告らは、被告各製品が本件明細書の実施例に照らし「発泡性アルコール組成物」に当たらないこと、及び本件各発明が引用例から容易に想到できたものとして無効であるなどと主張した。 【判旨】 大阪地裁第26民事部は、原告の請求を一部認容し、差止請求と損害賠償請求の大半を認めた。まず無効理由については、明確性、実施可能性、サポート要件、進歩性のいずれについても無効理由は認められないと判断した。特に進歩性については、主引例とされた発明が「永久泡沫」のための泡安定剤を用いるものであるのに対し、本件各発明は水性組成物を「一時的に発泡させる」ものであり、引用発明からの動機付けがないとして進歩性を肯定した。次に技術的範囲への属否については、被告各製品が実際に泡沫を生成しており、手動ポンプ式ディスペンサーが「ディスペンサーポンプを有する無加圧ディスペンサー」に当たるとして、構成要件をいずれも充足すると認定した。差止請求については、被告らが処方変更し在庫もないと主張したが、応訴態度に鑑み侵害のおそれは残るとして差止めを認めた一方、在庫がないことから廃棄請求は必要性がないとして棄却した。損害額については、特許法102条3項の実施料率の算定に関し、同条項の損害は通常の実施料率より相当高額になるべきであることを示し、本件発明の技術的・経済的価値、量産品で利益率が低いことなどを総合考慮して、実施料率を7%と認定した。これにより被告サラヤに対し683万6000円、被告東京サラヤに対し被告サラヤと連帯して341万8000円の支払を命じた。本判決は、特許法102条3項の実施料率算定にあたり「侵害のし得」を回避するという平成10年改正の趣旨を踏まえ、通常の実施料率より高率を認めるべきであるとの考え方を明示した点で、実務上の意義を有する。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。