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下級裁

損害賠償請求事件

判決データ

事件番号
平成30ワ3348
事件名
損害賠償請求事件
裁判所
福岡地方裁判所
裁判年月日
2019年6月26日
裁判種別・結果
その他
裁判官
足立正佳

AI概要

【事案の概要】 本件は、原告が、弁護士である被告に対し、プライバシー権を侵害されたとして、不法行為に基づき損害賠償176万円(慰謝料160万円、弁護士費用16万円)の支払を求めた事案である。 事案の経緯は次のとおりである。原告は、平成29年2月14日、A弁護士会に対し、被告のマスコミへのコメントが弁護士職務基本規程23条の守秘義務に違反するとして、懲戒を申し立てた。これに対し被告は、同月20日、遺産分割調停に用いる目的もないのに、利用目的を「遺産分割調停申立て」と偽って、住民基本台帳法12条の3第2項に基づく特定事務受任者として「住民票の写し等職務上請求書」を作成し、福岡県糟屋郡B町長に対し原告の住民票の写しの交付を請求した。これにより、被告は、原告の現住所、生年月日、本籍地、従前の住所、世帯情報等が記載された住民票の写しを取得した。原告は、平成30年2月頃、B町に対して個人情報開示請求を行い、被告による取得行為を知った。 なお、原告による別件懲戒申立てについては、A弁護士会綱紀委員会において、被告に守秘義務違反があったと認め、懲戒委員会に事案の審査を求めることを相当とする旨の議決がされている。 【争点】 本件取得行為が原告のプライバシー権を侵害する違法な行為といえるか、違法と認められる場合の損害額が主たる争点である。被告は、懲戒申立てによって被告及びその家族の生命・身体に危険が及ぶことを危惧し、懲戒請求者の情報を知るために本件取得行為に及んだものであり、社会通念上受忍すべき限度を超えるものではないと主張した。 【判旨】 裁判所は、原告の請求を1万1000円(慰謝料1万円+弁護士費用1000円)の限度で認容し、その余を棄却した。 まず、住民票に記載された本籍地、生年月日、従前の住所、世帯情報等は、氏名及び住所と相まって個人を特定し、居住歴を含めて人格的利益を損なうおそれを生じ得る情報であり、みだりに開示・流通することを望まない性質のものであると認定した。そのうえで、住民基本台帳法が請求に厳格な要件を定め、不正取得に罰則を科していることに照らし、本件個人情報は法的保護の対象となるプライバシー情報であるとした。 次に、本件取得行為については、弁護士である被告が、住民基本台帳法が特定事務受任者として弁護士資格に特に認めた職務上請求制度を利用しつつ、虚偽の利用目的を申告して同法の要件を意図的に潜脱した違法なものであり、法及び社会の信頼を損ねるものであると指弾した。被告の主張する危険回避の必要性についても、懲戒請求がされた以上に具体的危険が生じる事情はなく、正当化事由とはならないと退けた。 もっとも、損害額については、本件個人情報は思想・信条等のような高度に秘匿性を要する情報ではなく、被告が情報を拡散させた事実もうかがわれず現実の不都合は生じていないこと、他方で懲戒申立ての対象弁護士が違法手段で取得したことで原告に具体的な不快感・不安感が生じたことなど諸般の事情を総合考慮し、慰謝料は1万円、弁護士費用は1000円をもって相当と認めた。 本判決は、弁護士による職務上請求制度の濫用が違法なプライバシー侵害に当たることを明確にした一方、精神的苦痛の程度や現実的被害の有無を踏まえて慰謝料額を厳格に算定したものとして、実務上参考となる。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。