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知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
平成31行ケ10004
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2019年7月3日
裁判官
高部眞規子小林康彦関根澄子

AI概要

【事案の概要】 原告(ドイツの著名自動車メーカー、ダイムラー社)は、平成28年7月28日、第12類「自動車及び二輪自動車」を指定商品として、「EQ」の欧文字2字からなる商標(本願商標)について国際商標登録出願を行った。原告は、メルセデス・ベンツブランドのうち、電動車モデルに特化したブランドとして本願商標を採択したもので、「EQ」は「Electric Intelligence(エレクトリック・インテリジェンス)」を意味するとされ、原告の中長期戦略「CASE」(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の「E」を体現する新ブランドと位置付けられていた。原告は、平成28年9月のパリモーターショー2016で本願商標を発表し、同ブランドのコンセプトカー「Generation EQ」を世界初公開した後、フランクフルトモーターショー2017、東京モーターショー2017でも新型コンセプトカーを公表し、全国紙3紙への広告掲載や顧客向け定期機関誌による宣伝活動を展開していた。また、平成29年以降はプラグインハイブリッド車に「EQ POWER」との名称を付して日本国内で販売を開始していた。 特許庁は、本願商標について「極めて簡単でありふれた標章」に当たるとして商標法3条1項5号該当性を認め、同条2項該当性も否定して拒絶査定を維持する審決(不服2018-650016号)をしたため、原告がその取消しを求めて本件訴訟を提起した。 【争点】 争点は、(1)本願商標が「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標」として商標法3条1項5号に該当するか、(2)仮に同号に該当するとしても、使用の結果、需要者が原告の業務に係る商品であることを認識できるに至ったものとして同条2項により登録が認められるか、の2点である。欧文字2字の商標は一般に品番・型番を示す記号として用いられ識別力が弱いとされるところ、世界的に著名な自動車メーカーが電動車の新ブランド名として採択し、市販開始前から大規模にプロモーションを展開した場合に、短期間の使用でも識別力を獲得したと認められるかが実務上の焦点となった。 【判旨】 知財高裁は、本願商標が商標法3条1項5号には該当するが、同条2項の要件を具備するとして、原告の請求を認容し本件審決を取り消した。 まず3条1項5号該当性については、本願商標は「E」と「Q」の欧文字を一般に用いられる書体で横書きしたもので、文字の形や組合せに特徴がなく、自動車関連業界で商品の品番・型番・等級等を示す記号として用いられる欧文字2字との比較で特段の差異がないため、極めて簡単でありふれた標章に当たると判断した。ブランドとして使用され需要者に原告のブランドとして理解されていることは、3条2項該当性の検討で考慮されるべき事情であって、3条1項5号該当性を否定する事情にはならないとした。 次に3条2項該当性について、世界有数の自動車メーカーである原告が電動車ブランドとして本願商標を採択し、3つの国際的モーターショーで発表するとともに、全国紙3紙への新聞広告、年間17万部発行される顧客向け定期機関誌、原告ウェブサイトでの宣伝を展開し、多数の自動車専門誌(発行部数最大23万部超)やウェブサイトで「メルセデス・ベンツの新電動車ブランド」として集中的に紹介されたと認定した。著名な自動車メーカーの発表する電動車ブランドに注目する取引者・需要者が類型的に存在すること、本件審決時までに英国・欧州をはじめ世界各国でも登録・保護が認容され国際的に周知されていたことも考慮すれば、広告宣伝期間が約2年と比較的短く、プラグインハイブリッド車「EQ POWER」の販売台数が多くないことを勘案しても、本願商標は原告の電動車ブランドを表すものとして取引者・需要者に周知されていたと認められると判示した。 他者による「eQ」(トヨタ)、「EQ900」(現代自動車)等の使用例についても、本件審決時に使用が継続しているとは認められず、また他の欧文字・数字との組合せで品番・型式を示すものであって、いずれも本願商標の独占使用の容認を否定する事情とはいえないとして被告の主張を排斥した。 本判決は、市販開始前の段階であっても、著名メーカーが集中的なプロモーションにより新ブランドを確立した場合には、比較的短期間の使用によっても識別力の獲得が認められ得ることを明確にした事例として、新規ブランド戦略における商標登録実務上、意義を有する判断である。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。