都道府県を選択して、裁判官を探すことができます

全国 2522 人の裁判官3171 件の口コミ
知財

損害賠償等請求事件

判決データ

事件番号
平成29ワ3973
事件名
損害賠償等請求事件
裁判所
大阪地方裁判所
裁判年月日
2019年7月4日
裁判官
谷有恒野上誠一島村陽子

AI概要

【事案の概要】 蛍光色素の研究開発等を事業とする原告会社が、化学メーカーである被告に対し、蛍光色素に関する特許権の専用実施権設定契約に基づく実施料(一時金)4500万円の支払等を求めた事案である。原告代表者は九州産業大学の教授であり、生体分子の標識に用いる蛍光色素「Fluolid」シリーズを開発・販売し、関連する特許12件を保有していた。原告と被告(ハリマ化成株式会社)は平成17年頃から蛍光色素の共同開発について協議を重ね、平成27年12月に秘密保持契約を締結した上で、平成28年4月22日付けで「特許権等の専用実施権および仮専用実施権の設定に関する契約」を締結した。本件契約では、原告が被告に対し蛍光色素関連の特許12件について専用実施権を設定する対価として、一時金4500万円のほか販売代金の5%相当のロイヤリティを被告が支払うことが定められた。もっとも、本件契約第25条は、本件契約の成立を共同研究契約及び製造委託契約の締結を条件とする停止条件付契約としていた。本件契約締結後、被告は原告の研究室に研究員を派遣し、蛍光色素の構造・合成法等の技術情報の開示を求めたが、原告は一部5種類の蛍光色素の構造を開示したにとどまり、被告が作成した詳細な質問票(ヒアリングリスト・研究版)への回答も提出されなかった。また、原告が契約対象に含まれる未公開特許(乙27発明に係るサブマリン特許)を契約締結から約2か月経過後まで開示せず、共同出願人である福岡県から専用実施権設定の同意が得られないことも判明した。被告は平成28年9月末、契約の中途解約・解除の意思表示をし、共同研究契約等は締結に至らなかった。原告は、主位的に、被告が故意に停止条件の成就を妨げたから民法130条により条件成就とみなすべきとして契約に基づく一時金の支払を、予備的に、被告が最初から共同研究や一時金支払の意思がないのに本件契約を締結してノウハウを騙取したとして、不法行為に基づく損害賠償を求めた。 【争点】 被告が故意に本件契約第25条の停止条件の成就を妨げたといえるか(民法130条の適用の可否)、及び被告に詐欺を理由とする不法行為が成立するかが主たる争点となった。 【判旨】 請求はいずれも棄却された。民法130条による条件成就擬制が認められるためには、相手方当事者の故意に加え、条件を不成就にしたことが信義則に反することが要件となる。本件契約は既存の蛍光色素を単に独占的に製造販売するのではなく、原告と被告が共同研究を通じて競合品である「Alexa」を上回る改良製品を開発することを目的としており、そのためには原告製品に係る蛍光色素の構造や合成法、製品化の検討に必要な情報の開示が共同研究の前提として不可欠であった。しかし、原告が開示したのは5種類の蛍光色素の構造等にとどまり、被告が作成したヒアリングリスト・研究版への回答もなされなかったから、被告は共同研究の計画策定に必要な情報を得られず、製品化の可能性や事業として成り立つ見込みを立てられる状況ではなかった。また、原告は契約対象に含まれる乙27発明に係る特許出願の事実を契約締結後約2か月間開示せず、共同出願人である福岡県から専用実施権設定の同意を得ることもできなかったことは、被告が本件事業を推進するかの判断に相当程度の影響を与える事情であり、両者の信頼関係を阻害する要素となった。以上によれば、被告が共同研究契約を締結しなかったことはやむを得ず、条件を不成就にしたことが信義則に反するとはいえないから、故意による条件成就の妨害(民法130条)は認められない。したがって本件契約は効力を生じておらず、主位的請求は理由がない。予備的請求についても、被告は契約締結前後を通じて原告との共同研究や事業化に向けた協議・準備を重ねており、契約締結時に共同研究の意思や一時金支払の意思がなかったと推認することはできないから、詐欺による不法行為は成立しないと判断された。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。